黒曜石
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黒曜石(こくようせき、obsidian)は、火山岩の一種、及びそれを加工した宝石。黒耀石とも書く。
火山岩としては黒曜岩(こくようがん)ともいう。 化学組成上は流紋岩(まれにデイサイト)で、石基はほぼガラス質で少量の斑晶を含むことがある(斑晶、石基については火山岩を参照)。流紋岩質マグマが水中などの特殊な条件下で噴出することによってできると考えられている。同じくガラス質で丸い割れ目の多数あるものはパーライト(真珠岩)という。
黒曜石のモース硬度は5。比重は2.339-2.527。水を1-2%含む。
外見は黒く(茶色、また半透明の場合もある)ガラスとよく似た性質を持ち、割ると非常に鋭い破断面(貝殻状断口)を示すことから先史時代より世界各地でナイフや矢じり、槍の穂先などの石器として長く使用された。日本でも後期旧石器時代から使われていた。当時の黒曜石の産地は大きく3つに分かれており、その成分的な特徴から古代の交易ルートが推測できる。
黒曜石は特定の場所でしかとれず、日本では約60ヶ所が産地として知られている。 縄文時代の黒曜石の産地としては信州八ヶ岳周辺や和田峠、伊豆諸島の神津島・恩馳島、山陰の隠岐島などが知られている。
石器素材として古くさいイメージを持つが、意外に現代でも実用に供されている。その切れ味の良さから、海外では眼球/心臓/神経等の手術でメスとして使われることがある。
また、黒曜石を1000℃で加熱すると、含有された水分が発泡してパーライト (発泡体)となる。白色粒状で軽石状で多孔質であることから、土壌改良剤などとして用いられる。
様々な色の混じった美しいものは、研磨されて装飾品や宝飾品として用いられている。