首都消失
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『首都消失』(しゅとしょうしつ)は、SF作家小松左京によって書かれた小説、並びにそれを原作とする映画である。小説はブロック紙3社連合に該当する北海道新聞、中日新聞(東京新聞)、西日本新聞にて連載された。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 原作のあらすじ
日本の首都・東京を中心とする半径約30km圏(概ね国道16号の内側に相当し、立川、大宮(現さいたま市)、柏、船橋などが内包される。)が正体不明の「雲」に覆われ、「雲」の外部との連絡が途絶してしまった(電波は元より有線通信も遮断、人間や物体の出入りさえ出来ない)。東京は、日本の首都であり、政治・経済・情報発信の中枢都市である。またその機能を十分に代替できる大都市がないことから、人々は混乱に陥る。当時、東京一極集中の問題が指摘され、一連の遷都・首都機能移転(国会等移転)論議にも通じる問題意識が提起されている。
なぞの「雲」による被災当時、国会が開会中だったため、主だった政治家・本省庁局長級以上の幹部職員はほとんど全員「雲」の中に取り込まれてしまった。そのため、日本の統治機構はたちまち機能不全となる。そこで、その政治・行政の空白を埋めるべく緊急避難の法理によって、全国知事会(原作では田村宮城県知事を議長とする「緊急全国知事会議」が開催される。)を基礎とした暫定統治機構(臨時国政代行組織)が樹立されるが、財政・外交を中心に問題は山積する。一方で「雲」の軍事的利用を巡って、アメリカとソ連(作品の年代設定は1980年代のため、東西冷戦の真っ只中である)の激しいつばぜり合いが演じられる。
臨時国政代行組織というのは、道府県知事、同副知事、同議会議長、指定市の市長並びに被災地域にあたる東京都、神奈川県、埼玉県の代表により構成される組織のことで、空白状態にある外交、防衛をはじめとするわが国の国政運営を代行するとともに、日本国憲法に基づく新しい国会議員の選出と新政府の形成を準備する。臨時国政代行組織には、臨時国政代行機関が置かれ、各地方を代表する知事、中央省庁の地方支分部局の長、学識経験者により構成される。また組織の首席代表は、機関の長として統括する。原作では、内務省・自治省出身の小室兵庫県知事が組織の首席代表を務める。ちなみに東京都、神奈川県、埼玉県の各知事のほか、千葉県知事も、県庁は「雲」の外だが、東京滞在中に被災したため、参加していない。また、神奈川県代表として小田原市長が、東京都代表?として八王子市長が組織設立のための会議に出席している。
その後、最終的に「雲」は国際的な研究コンソーシアムにより調査が進められ、地球外生命体によって送り込まれた可能性が高いという結論に達し、継続的なモニターを行うこととなったのだが、ある日突然「雲」は消失し…。
[編集] 映画
1987年、配給東宝のSF特撮映画。製作は関西テレビ放送、徳間書店、大映映画。
シミュレーションノベル的性格の強い原作に対し、前半のストーリーはほぼ原作をなぞっているが、後半は原作とは異なり「雲」に閉じ込められた人々の救出を試みる設定となっており、それに尽力する人々の姿を描いている。
[編集] スタッフ
[編集] キャスト
- 渡瀬恒彦 - 朝倉達也(北斗電機技術開発部長)
- 名取裕子 - 小出まり子(フリーキャスター)
- 山下真司 - 田宮洋介(関西放送報道部員)
- 大滝秀治 - 大田原精一郎(筑波大学教授<物性物理学>・北斗電機技術顧問)
- 石野陽子 - 松永美恵子(北斗電機研究所員)
- 財津一郎 - 川村(関西放送報道部長)
- ぼんちおさむ - 小山(関西放送カメラマン)
- 竜雷太 - 堀江(外務省国連局審議官)
- 夏八木勲 - 佐久間英司(航空自衛隊二等空佐)
- 岸部一徳 - 安原(北斗電機研究所員)
- 渡辺文雄 - 小室達夫(大阪府知事)
- 丹波哲郎 - 中田(前民主党幹事長)
- 濱田万葉 - 佐和子(朝倉の長女)
- 石橋蓮司 - 議員秘書
- 田口計 - 駐英大使
- 加藤治子 - まり子の母
- 海老名美どり - 安原所員の妻
- 不破万作 - 国鉄東海道新幹線車掌
- 丹波義隆 - 駿河テレビディレクター
- 松村冬風 -
- 三木のり平、並木史朗、宮内洋
[編集] 書籍
- ゲームブック『首都消失』雅孝司著 徳間書店1986年12月31日発行 ISBN 4198133719
- 外伝的内容で主人公は怪盗。「雲」破壊のため暗躍する。途中にいくつかの選択肢が設けられており、複数のエンディングが用意されていた。