負芻

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負芻（ふすう　生年不詳-紀元前223年?）は、中国楚の最後の王。（在位前228～前223年）考烈王（名は楚世家では元で、春申君伝は完と記される）の庶長子。姓は羋、氏は熊。

[編集] 略歴･人物

彼の出生の場合はいろいろな説がある。史記の楚世家では幽王の悍と哀王の猶の妾腹の長兄とされる。その一方、同じ史記の春申君伝では、父の考烈王はなかなか嗣子が儲けられず、これを案じた春申君（黄歇）が自分の食客である李園の妹を選んだ。既に春申君の子を身籠った彼女は、そのまま考烈王の妃となり、間もなく公子悍（幽王）を産んだと記されている。だが、この話はどうも呂不韋が始皇帝の実父説と同様にあまりにも信憑性が欠ける話であり、多くの史家が幽王の実父が春申君説を否定しているという。となると考烈王は若い頃に既に負芻という公子を儲けているのである。ただ負芻の生母は下賎出身ということは考慮できると思われる。これが史記での矛盾の課題が問われる所以であると思われる。

負芻の出生の真偽の程はともかく、史記の楚世家でははっきりと考烈王の公子と記されているのである。紀元前228年に亡き幽王の同母弟の猶（哀王）が、庶長兄の負芻が自分の家臣と共に王宮に襲撃したことによって幼い哀王は惨殺され、負芻は自ら楚王に即位した。だが負芻は主体性の欠けた君主で、この頃の楚は既に往年の強大国の面影は喪失した。紀元前224年に秦の老将軍の王翦が蘄（き）で楚の大将軍の項燕（項羽の祖父）を討ち取って、楚の精鋭を壊滅した。この時点で楚の滅亡は確定された。翌年になって王翦は蒙武（蒙恬の父）と共に楚に攻めた。都の陳にいた王の負芻は慌てて脱出した。だが秦の追撃が迅速であったために負芻はとうとう捕虜となった。間もなく負芻は処刑され、ここで春秋時代から続いた楚はついに滅亡したのであった。