複葉機
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複葉機(ふくようき)とは、飛行機において、揚力を得るための主翼が2枚以上あるもの。狭義には2枚のものを指し、3枚のものを三葉機、4枚以上のものは多葉機と呼ぶこともある。
揚力は速度の2乗、密度、翼面積に比例するが、飛行機の発展当初においてはエンジンが非力で飛行するのに十分な速度を得ることができなかった。そのため機体を飛ばすには翼面積を大きくする必要があったが、当時の翼は布張り木製の構造で強度がなかった為、翼を上下に配置する複葉が使われた。
しかし複葉は上下の翼間において流れの干渉が起こるため単純に翼2枚分の揚力は発生しない。また上下の翼をつなぐのに使用されるワイヤーは抵抗が大きく(抗力係数が翼型の数倍~数十倍)速度に影響を与えていた。よって1930年代後半には金属製で強度のある主翼が一枚の単葉機が一般的となる。
現代でも複葉機は一部のアクロバット飛行用、農業用飛行機もしくはウルトラライトプレーンに残っている。研究段階ではあるが超音速旅客機の衝撃波を押さえる手段としても考えられている。
[編集] 有名な複葉機
- フォッカー EIII:フォッカー EIの改良型で、フォッカー単葉戦闘機シリーズ中
- フォッカーDr.I:撃墜王リヒトホーフェン男爵(レッドバロン)の乗機として有名。
- フォッカーD.VII:第一次世界大戦で連合国側に最も恐れられた機体。
- アルバトロスD.III:木製モノコックの胴体を採用。
- ゴータG.IV:ロンドンを夜間爆撃したことで知られる。
- スパッドVII:水冷エンジン搭載のフランスの重戦闘機。
- ニューポール11:複葉の下翼が短い一葉半方式を採用、格闘戦に強い。
- ソッピーズ キャメル:旋回性能が優れた格闘戦向きの機体。
- スパッドVII:水冷エンジン搭載のフランスの重戦闘機。
- ピッツ・スペシャル:現代の曲技用複葉機。
- グラマン アグキャット:1950年代に設計された農業用複葉機。
- PZL M-15 ベルフィゴール:農業用複葉ジェット機。
- 九三式中間練習機:「赤とんぼ」の名で親しまれる。