知里真志保
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知里 真志保(ちり ましほ、1909年2月24日 - 1961年6月9日)は、北海道幌別町字登別町(現在の登別市)出身の、アイヌの言語学者。専攻はアイヌ語学。姉は、『アイヌ神謡集』の著者・知里幸恵。大学での指導教授は、金田一京助。
アイヌ民族の視点からアイヌ語を理論的に研究し、『分類アイヌ語辞典』で朝日文化賞を受賞。その他にも、アイヌ語地名研究者の山田秀三とも共同しながら、アイヌ語学的に厳密な解釈を徹底させたアイヌ語地名の研究を進め、数々の論文や『地名アイヌ語小辞典』などを刊行し、北海道の地名研究を深化させた。また、言語学者・服部四郎との共同で北海道・樺太各地のアイヌ語諸方言の研究を行いアイヌ語の方言学の基礎を築いた。その業績はもはや「アイヌ学」という一つの学問を築き上げている。
真志保は京助を敬愛していたが、アイヌとしての自意識もあり、感情的な部分も含めて、学問的な批判は京助に対しても容赦しなかった。 また、研究仲間だった河野広道や更科源蔵、高倉新一郎らの著述における問題についても辛辣な攻撃を行った。
[編集] 経歴
- 室蘭中学校(現在の北海道室蘭栄高等学校)卒業。成績優秀だったが、貧困ゆえに進学できず、地元の役所に勤務。
- 金田一京助に才を惜しまれて東京杉並の金田一家に招かれ、旧制第一高等学校(現在の東京大学教養学部)に8番の成績で合格、のち卒業。
- 東京帝国大学(現在の東大)文学部言語学科卒業。
- 同大学院博士課程修了。文学博士号取得。
- 1943年 - 北海道大学文学部教授。
- 同名誉教授。
[編集] 関連人物
[編集] 外部リンク
- 北海道大学北方文民族言語学研究室(ツングース諸語やモンゴル諸語、シベリアなどの北方諸民族の言語を研究)
- 千葉大学文学部ユーラシア言語文化論講座(アイヌ語やニヴフ語などを含む北方諸民族の言語や文化を研究)