特別司法警察職員
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特別司法警察職員(とくべつしほうけいさつしょくいん)とは、警察官(一般司法警察職員)よりも専門の犯罪分野に詳しい公務員がその知識を活用し、犯罪の捜査にあたれるように一定の権限を与えられた司法警察職員のことである。
いずれもその分野のエキスパートであり、警察官にはない高度な専門の知識・技能・経験等を有している為に警察官よりも円滑・スムーズに捜査が出来るので、当該分野の犯罪捜査に限って警察官と同じ権限を付与されているものである。 尚、特別司法警察職員が捜査をしていると警察が捜査できない、という訳ではなく警察もその分野の犯罪を捜査したり合同で捜査を行ったりすることもある。
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[編集] 規定
個別の根拠法によるもののほか、司法警察職員等指定応急措置法(昭和23年法律第234号)第1条及び大正12年勅令第528号(司法警察官吏及司法警察官吏ノ職務ヲ行フヘキ者ノ指定等ニ関スル件)によって指定されている。また、刑事訴訟法第190条の規定にも根拠がある。
[編集] 一覧
[編集] 個別法によるもの
- 海上保安官(海上保安庁法 第31条)・・・拳銃等武器携帯権限あり
- 麻薬取締官・麻薬取締員(麻薬及び向精神薬取締法 第54条第5項)・・・拳銃等武器携帯権限あり
- 郵政監察官(日本郵政公社法 第63条第3項)・・・捜査権限のみ。通常逮捕権限なし。通常逮捕を要するときは、一般司法警察職員に依頼し、逮捕してもらう。
- 船員労務官(船員法 第108条、船員災害防止活動の促進に関する法律 第62条)
- 漁業監督官又は漁業監督吏員(漁業法 第74条第5項)
- 鉱務監督官(鉱山保安法 第49条)
- 鳥獣の保護又は狩猟の適正化に関する取締りの事務を担当する都道府県の職員(鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律 第76条)
- 刑事施設の長、刑事施設の職員(刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律 第145条)
[編集] 「司法警察官吏及司法警察官吏ノ職務ヲ行フヘキ者ノ指定等ニ関スル件」によるもの
- 猟場管守の事務を担当する宮内庁出仕・同職員(第3条第2号)
- 森林管理局署勤務の農林水産事務官・同技官(林野庁森林管理局職員)(第3条第4号)
- 北海道庁職員
- 北海道庁の森林管理局署勤務の地方技官・同事務官(第3条第6号)
- 公有林野の事務を担当する北海道庁の地方事務官・同技官(第3条第7号)
- 北海道庁河川監守たる地方事務官(第3条第14号)
- 狩猟取締の事務を担当する庁府県の地方技官(第3条第8号)
- 船長・甲板長・機関長・事務長(遠洋区域、近海区域又は沿海区域を航行する総噸数20噸以上の船舶の船長・上記船舶の甲板部、機関部及事務部の海員中其の各部に於て職掌の上位に在る者) (第6条第1号・第2号)
[編集] 廃止されたもの
- 帝室林野局出仕(司法警察官吏及司法警察官吏ノ職務ヲ行フヘキ者ノ指定等ニ関スル件 第3条第1号)
- 日本国有鉄道職員(旧運輸省所管)
- 経済監視官
- 経済監視官補たる地方事務官(司法警察官吏及司法警察官吏ノ職務ヲ行フヘキ者ノ指定等ニ関スル件 第3条第14号)
[編集] 外部リンク
『いんちき館』より「治安機関エトセトラ」・様様な特別司法警察職員の概要が紹介されている。