熱力学温度
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熱力学温度(ねつりきがくおんど、thermodynamic temperature)は、熱力学によって定義される温度のひとつ。熱力学的温度(ねつりきがくてきおんど)と呼ばれることも多い。単位はケルビン(記号: K)。絶対零度(熱力学温度が 0 K)の基準点が存在するため、絶対温度(ぜったいおんど)とも呼ばれてきた。絶対零度のとき、古典力学的な意味での熱運動は全て停止する。そして、熱力学温度は絶対零度を下回ることはない。1968年の国際度量衡総会 (CGPM) で、水の三重点 (0.01 ℃) を 273.16 K と定義したため、熱力学温度とセルシウス温度の目盛の幅(1度の温度差)は等しく、相互の値には「熱力学温度/K = セルシウス温度/℃ + 273.15」の関係が成立する。
他の温度は、物質の膨張などの物性に基づいて定義されているため、その物質の特性に依存する。一方、熱力学温度にボルツマン定数の 3/2 倍を乗じた値が物質粒子1個がもつ熱運動のエネルギーの平均に相当することからもわかるように、個々の物質の特性ではなく物理法則に基づいて定義されている。したがって物理や物理化学の本で、熱力学に基づいた式に温度が出てきた場合は、特に断らなくとも熱力学温度をさす。
[編集] 単位換算
ある点における熱力学温度が T [K]、セルシウス温度が θ [℃] のとき、2つの温度の間には次の関係が成り立つ。
この式は、しばしば「0 ℃ = 273.15 K」のように書かれることがあるが、異なる単位の間に等号が成立するという意味ではなく、それぞれの単位で示した値が同等であるという意味である。
[編集] 基本的な考え方
2つの系が接触し、自然に一方から他方に熱エネルギーが移動したとき、2つの系の間には温度差があると考える。逆にいえば、温度差が存在すれば熱量の移動が起こって、しばらくすると二つの系の温度は一致するようになる。これを熱平衡という。
温度平衡を保ったまま(等温過程)で熱量の移動があったとき、温度 T は熱量の移動 dQ とエントロピーの変化 dS の間の比例係数として定義できる。
- dQ = TdS
[編集] 統計力学における定義
とエネルギー E とを用いて、温度 T は次のように定義される。
また、次のように定義される β を逆温度と呼ぶことがある。