準ひきこもり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
準ひきこもり(じゅん-)は富山国際大学教授樋口康彦が論文『大学生における準ひきこもり行動に関する考察』に中で提唱した概念である。
論文によれば「大学には真面目に登校するものの家族を除く他者との交流がほとんどなく、対人的な社会経験が不足している状態」をいい、ニート、フリーター問題の隠された要因になっていると指摘している。引きこもりのように部屋に閉じこもるわけではなく、問題が顕在化するのは就職活動期や大学卒業後という。2006年に講談社+α新書から『「準」ひきこ森』が出版されて以降、インターネット上で話題となった。
目次 |
[編集] 特徴
- 男子学生に多い。
- たくましさに欠ける。社会で期待されている男性役割を身につけていない。
- 自己中心的、視野狭窄。
- 被害者意識が強い。
- おしゃれに無頓着であることが多い。
- 流行を知らず、話題のスポットにも行ったことがない。
- 小学校・中学校・高校時代から人付き合いが苦手であり、不登校を経験していることが多い。
- 善悪の区別はつく。おとなしくて真面目な部類にはいる。
- 真面目、成績もいい。レポート等は得意。
- 無気力で、実際には人恋しいものの他者との関わりを避けようとする傾向が強い。
- 学校行事、アルバイト、部活動等に参加しない (著者によると「アルバイトに精を出す大学生というと否定的に見られがちだが、準ひきこもりの大学生よりはましである」)
- コミュニケーション能力が低い。
- 友人がほとんどいない。
- 異性との極めて普通の接触が自分と相手にとって極めて重要な接触だと勘違いする。
- 同じ準ひきこもりの学生(キャンパスの孤立者)と一緒にいることがある。
- 孤独感から他者(特に教師)の関心を引こうとする行動を取ることがある。
- 長年にわたる実質的なひきこもり生活のため、人との距離を適切に取るということができない。
- 知的側面に対して社会的側面が未成熟。
- 孤立していることを除けば、自分の妄想と現実の間を行き来しつつ快適な大学生活を送る。
- テレビ、パソコン、コンピューターゲーム、マンガ、アニメなどを延々と楽しみ、自閉傾向を強める。
- 就職活動をうまく行えず、途中でやめる。就職できたとしても早期退職にいたる。
- 比較的裕福な家庭に多く、親は甘い。
- 逃避的に大学院、専門学校への進学をするか、フリーターになる例が多い。
[編集] 批判
この概念は学術的に認められているものではなく、提唱者本人が心理学の専門家でないこともあり批判もされている。何をもって準ひきこもりとみなすかも著者の印象に負うところが大きく、マンガやアニメなどの趣味・娯楽と自閉傾向を直列繋ぎにしていることや男性にたくましさを要求している点、「妄想と現実を行き来」という文言や準ひきこもりが異常性欲を持っていると受け取れるなど、偏見的要素が含まれるのを問題視する向きもある。