津川武一

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津川武一(つがわ　たけいち、1910年8月2日-1988年9月4日)は、日本の政治家、医師、作家である。

青森県南津軽郡五郷村(現青森市浪岡地区)に生まれ、小作人の子どもとして育つ。学業成績が優秀であったため、小学校の教師のすすめで弘前中学校に進学し、その後旧制弘前高等学校に進む。弘前高時代は、石上玄一郎と交友をもつ。なお、太宰治とも同時期に弘前高に在学していたが、そのころは交流はなかったという。

1930年、東京帝国大学医学部に進学するが、当時の社会不安をバックにした社会変革の活動に参加し、在学中に日本共産党に入党する。しかし、治安維持法違反の容疑で逮捕、起訴され、一度は大学を退学処分を受けるが、「転向」を表明して執行猶予のつく判決を受け、その後大学への復帰が許される。卒業後、大学の医局に勤務するも、石上に医局の内部情報をつかった小説の題材を提供したため、彼がその作品を書いたのだと主任教授だった内村祐之に誤解され、破門の扱いを受ける。

敗戦後は、郷里にもどり、共産党の再建活動に参加する。このとき、再建準備の会議に太宰治が現れたが、彼は活動には参加することはなかった。共産党の活動ともに、地域医療の充実にも力をつくし、医療生協の運動を発展させた。1960年代初頭の、ポリオの生ワクチン輸入の時には、先頭にたって活動した。

一方この時期、小説も執筆し、1955年には、小説『農婦』で読売新聞小説賞佳作入賞、『過剰兵』は、サンデー毎日大衆文芸賞に入選した。また、地域では日本民主主義文学同盟の弘前支部の中心的な書き手として、後進を育て、また故郷の先人葛西善蔵の顕彰にも尽力した。

1963年に青森県議会選挙に出馬、当選し、2期勤める。2期目の途中の1969年、第32回衆議院議員総選挙に中選挙区の青森2区から立候補、当選をはたし、東北地方の最初の日本共産党の代議士として、1986年に引退するまで通算5期衆議院議員をつとめ、りんご産業振興をはじめ、農林水産の部門で活躍した。

浪岡町(現青森市)に、2002年に記念碑が建てられた。