母語
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日本語では、国を入れて母国語ということが多いが、本来、言語は必ずしも国家と結びつくものではない。日本語を国語と呼ぶので、母国や母語とまぜこぜで何の違和感も無く母国語という人が多いが、一部の人からは母国語という言葉は大いに非難されている。 出身国を母国と呼ぶとき、「母国の言葉」という意味で母国語という言葉は成立するが、地球上の殆どの人にとって母語≠母国語であることに注意するべきである。 母国語という言葉には、政治的な意味合いが含まれるので、公的な場面で使うことは適当でないが、長野県や東京都の公式サイトを見ても母国語は多数使われている。そもそも母国語に相当する単語は日本語以外では存在しない。
例えばフィリピンで母語として使われる言語は172あるが、公用語は英語とフィリピノ語の二つである。この言葉が使用されるのは母国で使われる言語がほぼ単一な場合に限られる。使用範囲がある国家領域と重ならない言語や、ある国家内の地域でのみ使われる言語もある。また話者によってはその言語が一般に使われない地域で両親の母語を母語として育つこともあり、このような場合には母語と地域の結びつきはないに等しい。
母語は必ずしも「一番得意な言語」とは限らない。母語以外の言語で教育を受けた場合、母語よりも第二言語のほうが語彙が豊富であったり流暢に話せたりすることもある。