桜井章一
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桜井 章一(さくらいしょういち、1943年 - )は、東京都下北沢生まれの雀士である。 大学生の頃に麻雀を覚え、その半年後に大金を賭けて行なわれる麻雀の代打ちとしてデビューをする。 現役時代(覚えてから20年間)は新宿を主な活動地としていた。 20年間無敗を称し、雀鬼(じゃんき)という異名を持つ。20年間無敗の伝説は、Vシネマ(清水健太郎主演)や漫画として作品化されている。
代打ち引退後の1988年3月28日に「雀鬼流漢道麻雀道場 牌の音」を開設。1991年に「雀鬼会」という組織を作り自身が考案した「雀鬼流」という打ち方を指導している。牌の音は下北沢道場(本部)と町田道場がある。
竹書房主催の麻雀最強戦では、桜井の弟子たちが、次々と強豪プロを倒し、二年連続で優勝を掻っ攫う(1992年第4回大会優勝 佐々木秀樹 1993年第5回大会優勝 山田英樹)。 それに伴い「プロ否定宣言」という文章が近代麻雀ゴールド誌に発表される原因にもなった。 その後も近代麻雀ゴールド誌では、2005年の廃刊直前まで、桜井と雀鬼会を題材にした漫画や記事がかなりの割合を占めていた。
マスコミ嫌いで有名な桜井だが、ファンの中学生のためにニュースステーションに出演したことがある。 この時は主に裏技(イカサマ)を披露。内容は「大三元爆弾」を久米宏に入れたり、「多牌打ち」で瞬間的に待ち牌を変えロンをしたりして出演者の久米宏、笑福亭松之助、桂ざこばを驚かせた。また後に爆笑問題のススメにも出演し、やはり「積み込み」を披露するなどして出演者を驚かせ、独特の麻雀哲学を語った。
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[編集] 裏プロ時代
本人の弁や漫画などで描かれているものを見ると、20年間無敗であったのは代打ちでの勝負の場でありオールトップを取り続けたというわけではなく10回戦なら10回戦のトータルでの勝ち負けで勝利ということらしい。代打ちは年に数回程度で勝負中に39度近く体温が上がったという(本人いわく、「勝負熱」)。雀荘ではトップを取ったり取らなかったりして遊んでいたらしい。
[編集] 20年間無敗のエピソード
- リーチに100%の確率で1発で振込み大金をばら撒く。
- 山積になった大金を崩れないように足で踏みつけて押さえた。
- 次にツモる牌を当てる(全員)。
- 和がり形を見せる前に点数を支払われる。
- リーチ宣言牌が必ず放銃する。
- 半荘全て同じ役で和がり続ける(または同じ牌)。
- 雀荘の大会で3900以下縛りプラス出場日数半分で優勝。
[編集] 桜井章一の影響
- 造語「死にメンツ」
- ルール「和り止め」
[編集] 雀鬼流の打ち方
- 打牌はできるだけ速く行う。
- 振込みを恐れない。
- 目先の和了よりも、遠くの理想形を目指す 結果アガれなかったとしても、手を無駄に安くしてアガるよりは、理想形の一向聴にたどり着くほうが価値があるとする。
- 基本は自摸アガリであり、引っかけ即リーチは禁止。
- 第一打には字牌以外を切る。
- ドラ牌は聴牌するまで切らない。
- トップ者以外の3人が原点を割り込むいわゆる「3コロ」状態は、何としても阻止する。
- 現在の自分の運気の状態や、それまでの各者の打牌によって生じた流れを考慮しながら打つ。
[編集] 雀鬼流の目指すもの
桜井の弁によれば、雀鬼流とは、雀鬼流で打たない者達を相手に試合をするときに、自分が有利になるための戦法というわけではなく、お互いに雀鬼流で打つことによって、精神の歪みを是正し、人間本来の心を取り戻すという精神修養的内容が主眼になっているようである。またそうすることによって、運気を呼び込み、直感力を研ぎ澄まし、長いスパンで見た麻雀の力を身につけられるということのようだ。少なくとも短期的に見た場合、その制約の多さもあって、雀鬼流で打つことにより、急に以前よりも好成績を収められるようになるというわけではない。
[編集] 雀鬼流に対する評価
上記のように、麻雀に対する桜井の主張や雀鬼流の打ち方は、精神主義的な内容が多いだけでなく、単なる確率論的偏りを超えた意味で運気の流れを捉えていることが多い。これらを、根拠のない非科学的な妄言と切り捨てる者もいる反面、麻雀が運の要素の強いゲームであることから、何らかの体験的真実を含んでいるのではと考える者も多い。
[編集] 桜井の実力
彼が20年間無敗であったと主張する時代には、まだ全自動麻雀卓が存在していなかったため、局の開始前に対局者たちが手で牌をかき混ぜてから山を積む、いわゆる手積みの麻雀が行われていた。この時代の裏プロの麻雀では、積み込みやスリカエといった「裏技(裏芸)」(不正行為)が当たり前で、桜井もその相手も、状況に応じてこうした行為を行っていたという。桜井の積み込みやスリカエなどの腕前が並外れたものであることには、ほとんど異論がない。反面、こうしたイカサマ技を使わずに打った場合の桜井の実力については意見が分かれる。三家和を見越した上で当たり牌を切り、流局に持ち込んだとするなど超人的なエピソードにも彩られており、当該エピソードについては天野晴夫の著書「リーチ麻雀論改革派」(南雲堂)において批判的な検証がなされたこともある。 ただし、1984年の近代麻雀での誌上対局で、不正行為を用いずに、当時新進気鋭の若手プロであった金子正輝、飯田正人を寄せ付けなかったことも事実である。
[編集] 交友関係
格闘家のヒクソン・グレイシー、株式会社イエローハットの創業者・鍵山秀三郎、ヒーラーの木津龍馬、武術家・甲野善紀など主にスポーツ選手が多い。
[編集] 著書
- 「勝利を求めない「無敗」の法則」竹書房 (2006/9/21)
- 「麻雀に愛される「感性」の法則―雀鬼流麻雀道場〈上巻〉」竹書房 (2006/07)
- 「JANKI-RYU 雀鬼流」竹書房 (2005/12)
- 「人生を掃除する人しない人」東洋経済新報社 (2005/3/11)
- 「雀鬼流 無敵の勝負論」青春出版社 (2004/12)
- 「20年間無敗の雀鬼が明かす「勝負哲学」」三笠書房 (2004/11)
- 「雀鬼流 勝負牌の選び方 選んで良い牌悪い牌―20年間無敗の雀鬼・桜井章一が選ぶ究極の何切る!?」竹書房 (2004/11)
- 「運に選ばれる人 選ばれない人」東洋経済新報社 (2004/2/27)
- 「我れ、悪党なり―20年間無敗の雀鬼、日々を語る」竹書房 (2004/02)
- 「逆境を乗り切る方法 瞬間力―「20年間無敗」の雀鬼に訊く93の質問」竹書房 (2003/12)
- 「強さの奥義―雀鬼流・人生道場」青春出版社 (2003/01)
- 「なぜあの人は強いのか」東洋経済新報社 (2002/09)
- 「無敗の手順―雀鬼・桜井章一の究極奥義〈2〉」竹書房 (2001/05)
- 「悪戯の流儀―雀鬼流・人生必勝の手順」青春出版社 (2001/03)
- 「無敗の手順―雀鬼・桜井章一の究極奥義」竹書房 (2000/07)
- 「超絶〈2〉雀鬼流麻雀の全て 心温かきは万能なり」竹書房 (1999/12)
- 「心温かきは万能なり―桜井章一箴言写真集」竹書房 (1999/08)
- 「雀鬼流の行動哲学―「狂」の時代を回避せよ」三五館 (1998/09)
- 「雀鬼に訊け―20年間無敗の奥義に迫る!!」竹書房 (1997/10)
- 「雀鬼流。―桜井章一の極意と心得」三五館 (1996/05)
- 「超絶―真の強者になるための麻雀戦術論」竹書房 (1995/08)