旧篠山町差別落書きやらせ疑惑事件
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旧篠山町差別落書きやらせ疑惑事件(きゅうささやまちょうさべつらくがきやらせぎわくじけん)とは、1983年から1984年にかけて、兵庫県多紀郡篠山町(現在の篠山市)で問題となった事件。「同和啓発」を目的として部落解放同盟の関係者が差別事件を捏造した可能性が指摘されている。
概要
1983年8月、部落解放同盟中央糾弾闘争本部長の車などにおいて、スプレーによる「ヨツコロセ」などの落書きが発見された。部落解放同盟兵庫県連合会篠山支部はこのことを受けて、この事件の背景に部落差別があることは疑いないと断定し、行政闘争の方針を決定した。
ところが、関係者の証言が集まるにつれて、ある疑惑が持ち上がった。この事件が発生する直前に、篠山支部長が「このごろ支部の活動が盛り上がらないから、差別落書きをしたらどうか」などと発言していたというのである。調査が進むにつれて、この支部長が差別落書きの犯人であることを示唆する証拠が続々と発見されるに至った。
疑惑が一層深まる中、この支部長は1984年3月にガス自殺を遂げた。このため、本当に「自作自演」であったのか否かは確定しないままうやむやとなった。
部落解放同盟関係者による「自作自演」は果たしてこれだけなのか、氷山の一角に過ぎないのではないかと疑う声が、日本共産党関係者や解放同盟に敵意を持つ勢力の中には存在している。
参考文献
- 山中央『新・差別用語』(汐文社、1992年)
- 解放の道新聞社編「解放の道」縮刷版(全国部落解放運動連合会、1986年)第3巻 pp.619 pp.636