憲宗 (唐)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

憲宗（けんそう、778年(大暦13年)－820年(元和15年)、在位は805年(永貞元年)－820年）は、唐の第十一代皇帝。名は純。第十代皇帝・順宗の長男。諡して昭文章武大聖至神孝皇帝。憲宗は廟号である。陵墓は景陵。

805年4月に太子に立てられ、同年8月には父が病のために譲位したため即位することとなった。即位後は、宦官の勢力を抑制するために杜黄裳を登用した。さらに地方の節度使勢力をも抑制するため、817年(元和12年)には淮西節度使を討って地方の統制強化にも努めている。対藩鎮勢力の施策としては、儒者の臣を藩帥に任命し、お目付け役の監軍には宦官を配し、節度使勢力の動静を監視させることを始めている。さらに名臣と謳われた武元衛や李吉甫ら賢臣にも恵まれ、軍備を拡張した禁軍を積極的に活用して、憲宗の時代に、衰退した唐は一時的に立ち直り、安定することとなったのである。このため、憲宗は中興の名君の一人と言われている。

だが、長男で太子に立てられた鄧王･李寧(恵昭太子)が19歳で早世すると、帝はその悲しみから、仏教・道教を狂信するようになった。その経緯から、法門寺の仏舎利を長安に奉迎することを計画し、韓愈の「論仏骨表」による諫言にも耳を貸さず、莫大な国費を費やして供養を行ない、また、丹薬を乱用して、宦官を虐待するという精神的に異常な冷酷な人物へと変貌してしまう。このため、帝は820年に宦官の王守澄や陳弘志らによって暗殺されてしまった。齢43。