悪性黒色腫
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悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ、malignant melanoma)とは、皮膚、眼窩内、口腔粘膜上皮などに存在するメラノサイト由来の悪性腫瘍である。正確な発生原因は不明であるが、皮膚に発生する悪性黒色腫は紫外線暴露と関連性が深いと考えられている。
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[編集] 発生
皮膚に発生する場合、多くは扁平上皮基底層に存在するメラノサイトが前癌病変である母斑を形成し、水平増殖期、垂直増殖期を経て転移を起こすという段階的な悪性化モデルが考えられている。各段階においてある特定の遺伝子が関与している可能性が示唆されている。
[編集] 主な発生部位
- 皮膚
- 眼窩
- 口腔粘膜上皮
[編集] 診断
[編集] 視診
皮膚の悪性黒色腫は見ただけである程度診断できる。特徴は以下のとおりである。
- いびつな形
- 境界不明瞭
- 色調不均一
- 長径6mm以上
これらを覚えやすく、Asymmetry(非対称)、Border(輪郭)、Color(色)、Diameter(径)から一文字ずつとってABCDと言われる。さらに日本では、ほとんどすべての症例が病変部の隆起(Elevation)を伴うことから、ABCDEとも言われる。
[編集] 病理学的診断
メラノサイト由来の腫瘍を診断する場合、メラノサイトが産生するメラニン顆粒の存在を証明することが必須となる。組織内のメラニン顆粒を脱色することでメラニン顆粒の存在を証明する漂白法、メラニン顆粒を染め出す染色としてフォンタナ・マッソン法などが存在する。
ただし、病変の一部を採取する皮膚生検は、転移を促すため原則禁忌。はじめから拡大切除を行う。
[編集] 免疫組織化学的特徴
抗ビメンチン抗体に100%陽性。抗サイトケラチン抗体陰性、抗S-100蛋白抗体陽性、抗メラノソーム抗体(HMB-45等)陽性
[編集] 治療
悪性黒色腫細胞の産生するメラニン顆粒は元来、強すぎる太陽光、特に紫外線から生体を守るために防御反応として産生されるものである。そのため、放射線療法などは効果が低いとされている。また、きわめて有効な化学療法も存在しておらず、原則的に治療は外科的切除に頼ったものになっている。
[編集] 外部リンク
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