小林靖子
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小林 靖子(こばやし やすこ、1965年4月7日 - 、東京都出身)は、日本の脚本家。アニメ作品や特撮テレビドラマ作品を主に手がける。
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[編集] 略歴
コンピューター・ソフトウェアの会社で働いていたが、ある日偶然見た『特警ウインスペクター(扇澤延男脚本の「雨に泣くロボット」)』の影響で特撮に興味を持ち、続々編である『特捜エクシードラフト』のプロットを書いてテレビ朝日の「ご意見・ご感想」コーナーに送付。普通なら単なるファンレター的産物として相手にされないところ、同局の担当プロデューサーだった宇都宮恭三や、制作会社・東映でやはり同作を受け持っていた堀長文の目に留まり、シナリオスクールで本格的な勉強をすることを勧められ、シナリオ・センター(東宝の「おトラさん」シリーズや「お父さん」シリーズ、「落語野郎」シリーズなどを執筆した脚本家・新井一が1970年設立)で学ぶ。
1993年、『特捜ロボジャンパーソン』第40話でデビュー。当初は公募された子役がメインとなる話や、他作品のヒーローが競演する話といった企画先行のエピソードを手がけることが多かったが、それらをそつなくこなして段々と作品内における立場を高めていき、1997年の『電磁戦隊メガレンジャー』では新戦士登場篇・新ロボ登場篇・最終三部作第一話といった要所を担当、事実上のメインライター(実際のメインライターは武上純希)としての働きを見せる。そして翌年、『星獣戦隊ギンガマン』で初の正メインライターを担当、その評価を確かなものにする。
デビューから数年間は仕事は東映の特撮ドラマに限定されていたが、1997年の『地獄先生ぬ~べ~』第41話以降はアニメにも関わるようになり、『ギャラクシーエンジェル』などではギャグ、パロディを手がけるようにもなる。
[編集] 主な脚本作品
■マークはシリーズ構成もしくはメインライターとして関わった作品。
[編集] TVアニメ作品
- あぃまぃみぃ!ストロベリー・エッグ■
- ごくせん■
- 灼眼のシャナ■
- 夢使い■
- ウィッチブレイド■
- 地獄先生ぬ~べ~
- 春庭家の三人目
- 遊☆戯☆王(東映アニメーション版)
- 星方天使エンジェルリンクス
- GEAR戦士電童
- ギャラクシーエンジェル
- サイボーグ009 THE CYBORG SOLDIER
- ぴたテン
- 七人のナナ
- ぱにょぱにょデ・ジ・キャラット
- げんしけん
- ケロロ軍曹
- 強殖装甲ガイバー(オー・エル・エム版)
- 009-1
- DEATH NOTE
[編集] 特撮テレビドラマ作品
- 特捜ロボジャンパーソン(デビュー作)
- ブルースワット
- 重甲ビーファイター
- ビーファイターカブト
- 電磁戦隊メガレンジャー
- 星獣戦隊ギンガマン■
- 救急戦隊ゴーゴーファイブ
- 未来戦隊タイムレンジャー■
- 仮面ライダーアギト
- 仮面ライダー龍騎■
- 美少女戦士セーラームーン■
- 轟轟戦隊ボウケンジャー
[編集] 作風
ばら撒いた伏線を丁寧に回収するストーリーテリングと、登場人物間の関係性の描写の深さ、血の通ったキャラの台詞回しには定評がある。また、子供向け番組を書く場合でも非常に重いテーマを臆せず扱う傾向にある。
「『強さ』『正しさ』は自分で獲得するもの」とのポリシーの下、決して完全無欠とは言えない人間臭さを持ちつつも、非常に正統的で「熱い」ヒーロー像を好んで書くが、『仮面ライダー龍騎』以降は共同執筆した井上敏樹の影響もあり、より人間の弱さを描く方向にシフトしつつあった。 その顕著な例が『美少女戦士セーラームーン(実写版)』である。 しかし、『轟轟戦隊ボウケンジャー』では久しぶりに「熱い」ヒーロー像路線を復活させたり、ギャグ話もこなしたりと、作風の広さを見せるようになった。
一方で、人間関係の描写の濃密さは、ともすれば「やおい的」とも捉えられ易く、このような傾向を好まない視聴者からの批判を買う事もある。
また、ストーリーがやや難解になる事が多く、「ヒーロー物のような子供向けの作品には不適格」という厳しい意見もある。
[編集] エピソード
- 時代劇や刑事ドラマに影響を受けて育った世代を自認し、いわゆる「月9」に代表される恋愛ドラマには興味がないと公言している。
- 東映アニメーション版『遊☆戯☆王』で知り合った井上敏樹と公私ともに非常に仲が良く、しばしば一緒に仕事をしたり、井上の自宅のパーティに参加したりしている。
- その井上敏樹宅でのホームパーティの席上、井上の知人である俳優・寺崎正信から「何気ない一つのセリフを言うのに、役者はどれほどの労力を使うのか」と言われるや、すかさず「その何気ない一つのセリフを書くのに、脚本家はどれだけ苦労するか」と切り返した。
- 『GEAR戦士電童』では2クール目終了(第26話)と同時に降板しているが、この経緯について"登場人物スバルのキャラクター設定を巡り、同作品のシリーズ構成を担当していた両澤千晶との間で揉めた"事が原因であるという説が、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ(両澤は同作品のシリーズ構成でもあった)に批判的なファンの間でほぼ通説として広まっている。そういった人間関係を裏付けるかのように、小林はその後『ケロロ軍曹』までサンライズ作品を一つも手掛けていない。しかし、両氏のファンでこの説に懐疑的なスタンスを取る者は、"スバルの初登場回は12話であり、仮にスバルのキャラクター設定で揉めたのであれば、降板するのが遅すぎる。また小林が降板した26話以降は、最終話まで両澤も脚本を書いていない。よって両氏の確執説は疑わしい"と主張している。いずれにせよ、両澤との確執が降板の理由だと立証するだけの有力な物証がどこかで提示されたことは2005年11月の時点で全く無く、あくまで噂・疑惑のレベルに過ぎない。
- 『星獣戦隊ギンガマン』以来小林と仕事をする事の多い岸祐二によれば、「酒が入ると威勢がよくなるタイプ」だという。