宮城山福松

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宮城山福松（みやぎやまふくまつ、明治28年（1895年）2月27日-昭和18年（1943年）11月19日）は、大相撲の力士で、岩手県出身力士では唯一横綱まで昇進した。

明治28年2月27日、岩手県一関市山ノ目町五代に生まれる。本名:佐藤福松（さとうふくまつ）。

明治43年（1910年）出羽ノ海部屋に入門し同年6月初土俵。明治45年（1912年）5月に三段目になり当時許されていた大銀杏を結ってもらい喜んでいるところに、幕下の九州山十郎が来て殴られたため逃げ出し、大阪相撲の高田川部屋に移籍した。後に大正10年（1921年）3月に行われた合併興行で九州山に勝ちその後互いに昔の無礼を詫びて和解の握手をした。

四股名は最初は岩手川だった。大阪加入後に宮木山、後に宮城山。宮城山の四股名は一関と県境を接する宮城県にちなんだ。

大正11年（1922年）に吉田司家から横綱免許を授与される。これが結果として大阪相撲では最後の横綱になった。

大正時代も末期になると、関東大震災で国技館を失い苦しむ東京相撲との合併の話が持ち上がり、番付統合のために合併場所が開催された。ここで大阪力士は力量が東京力士より劣ることが判明し、大阪大関の荒熊は平幕の9枚目､錦城山は平幕の10枚目になってしまった。唯一東京と互角に取れた真鶴秀五郎は平幕の筆頭になった。宮城山の実力評価は小結と判定されたが、吉田司家が認めた正式な横綱であるため、格下げするわけにも行かず張出横綱の形で編入させた。

迎えた合併後初の本場所である昭和2年（1927年）1月場所には、横綱常ノ花寛市には負けるが10勝1敗で幕内最高優勝。次の3月場所では千秋楽に常ノ花を倒して全勝を阻み大阪相撲の面目を保った。しかし持病の影響もあり昭和3年（1928年）10月に9勝2敗で2度目の優勝を最後に賜杯は抱けず、皆勤での負け越しも3回記録した。このため晩年には土俵入りで「弱い横綱」との罵声まで出たという。

これは、常ノ花がまだ存分に取れる状態と見られていたにもかかわらず引退したため、1人横綱として土俵を支えねばならないという事情もあった。実際、昭和6年（1931年）3月場所限りで引退したが、そのために横綱不在状態になってしまったわけだから、その点での横綱としての責任感は評価してもよいと思われる。また年寄名跡がなかったので、現役続行のほか選択肢がなかったともいわれる。

ただし、東京加入後の成績を見れば横綱としては不足と思われるが、東京・大阪合併後は明らかに全盛期を過ぎていた面も考慮すれば、大阪相撲の体面を最後まで守った横綱であると評価できる。

引退後は年寄白玉から芝田山を襲名し、部屋を経営したが、幕内力士を出すこともなく死去し、弟子たちは最終的に高砂部屋に引き取られた。小結宮錦浩、幕内島錦博がその中にいた。