宇宙皇子 地上編
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『宇宙皇子』(地上編)は、藤川桂介によって書かれた歴史伝奇ファンタジー『宇宙皇子』シリーズの第1部。1984年6月初版発行。挿絵はいのまたむつみ。実際に日本各地に伝の残る修験者・役行者こと役小角の弟子として、架空の人物「宇宙皇子」が金剛山で葛藤しながら成長していく姿を描く。物語の舞台は現実の西暦660年代以降の飛鳥地方をモチーフにしているが、作中では年代を星暦として表現している。
[編集] ストーリー
[編集] 登場人物
- 宇宙皇子(小子辺)
- 茅原の里の農民の子として産まれる。産まれる直前に父・尾戸部を壬申の乱で失い、また産まれて直に母・志楽辺を亡くす。
- その為幼少期から福寿によって育てられた。幼名は小子辺(ちいさこべ)
- 産まれた時から頭に角を持ち、その事によって迫害を受けるが、福寿の教えもあってそれを乗り越える。
- 角があることを不思議に思って養母・福寿に問い詰めた際、北天の神から命を授かったと言う事実を教えられ、福寿の勧めでそれ以降は宇宙皇子(うつのみこ)を名乗るようになる。
- 金剛山の小角に師事し、修験者の道を歩む。修行の中で少しずつ霊力にも目覚めていくが…
- 役小角
- 金剛山で修行を続ける修験者。彼を慕って集まった修験者や、流民となった農民らを束ねる指導者でもある。
- 宇宙皇子を福寿から引き受け、彼を厳しくも優しく見守りながら修験者として高めていく。
- 厳しい修行によって強大な霊力を身につけており、大きな災害の折にはその霊力を持って農民の手助けを行う。
- 苦須里
- 小角の弟子の一人。尾張の出身。両親を豪族に殺され、六歳の頃に小角に拾われる。
- 同世代の鬼の中では最年長で、金剛山に来た宇宙皇子を後輩として扱うが、皇子の求心力に魅せられ、彼を補佐するようになる。
- 各務
- 小角の弟子の一人。栢森の飛鳥川で小角に拾われた捨て子。
- 同世代の鬼の中で唯一の女性であり、皇子に恋心を抱くが、その為に修験者としての心と女性としての心の間で葛藤する事になる。
- 田加良
- 小角の弟子の一人。難波の出身。父を海難で失い、行方不明になった母を当てもなく捜している時に福寿に拾われる。
- 直情径行な性格で、少年期の皇子とは度々衝突する。
- 釣
- 小角の弟子の一人。美濃の出身。父親が防人として出て行き、それが元で家族が離散した後、金剛山の鬼に拾われる。
- 温厚な性格で、田加良を初めとした他の鬼と宇宙皇子との衝突を度々諌める側に回る。
- 福寿
- 小角の母で、宇宙皇子の育ての親。また小角と共に修行する修験者でもある。
- 普段は葛城山に作られた鬼の庵で付近の住民の訴えをただ黙って聞き留め、鬼の手助けが必要であれば金剛山の鬼へ伝える。
- 大津皇子
- 天武天皇と大田皇女との間に産まれた皇子。政治の中枢にありながら宇宙皇子に興味を抱き、彼の様々な疑問に答え、その成長の手助けとなった。
- 川島皇子
- 天智天皇と色夫古娘との間に産まれた皇子。大津皇子の従兄弟にあたり、また親友でもある。
- 行心
- 韓国広足
- 小角の弟子の一人。まだ未熟な少年期の宇宙皇子に仙術を教えようとし、その為に小角に叱責され、大峰山へ遠ざけられる。
- その事を恨みに思い、大峰山を下り、朝廷へ小角を讒訴した。赤鬼・白鬼・青鬼の三人の鬼を従え度々金剛山・宇宙皇子へ敵対するが、
- 一時の激情に駆られ袂を別ったとは言え、小角を尊敬し、宇宙皇子へ期待を寄せるという姿勢は貫く。
- キジムナー
[編集] サブタイトル
- 第一巻 はるかに遠き都よ
- 第二巻 明日香風よ挽歌を
- 第三巻 妖かしの道 地獄道
- 第四巻 西海道 隠び流し
- 第五巻 名もなき花々の散華
- 第六巻 一会に賭けた日々
- 第七巻 まほらばに熱き轍を
- 第八巻 愛しき太陽に死す
- 第九巻 さらば夢狩人たち
- 第十巻 愛、はてしなき飛翔