奉神礼
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奉神礼(ほうしんれい)は、東方正教会一般には、各教会で司祷者(主教が居る場合には主教が務める)を中心に行われる祈祷全般を指し、最も大切な聖体礼儀などの機密の他にも、時課や朝晩の祈祷、各種祭日、成聖式や埋葬式などの機会に応じた祈祷などを指す。カトリック教会における典礼に相当する。
祈祷には一般に教会が所在する現地の言葉を用いる。その昔宣教に訪れた先に現地の書き言葉が無い場合に、現地の話し言葉を学んで正書法を作りつつ、聖書と祈祷書とを翻訳した。正教会は、それほどまでに現地の言葉での祈祷にこだわっている。スラブ語地域など、宣教以後長い歴史のある教会では、日常会話に用いられる現代語とは若干異なってきている場合もある。
目次 |
[編集] 奉神礼の種類と構造
奉神礼の構造については基本的に司祷者の指示に従う。主幹の構成はどの各国地域の正教会でも同じであるが、参祷者(奉神礼への参加者)の奉神礼への熟達度や聖器物の装備など様々な要因によって部分的に省略を行う場合もあり、構造を知るには正教会の各教会へ参祷するのが最も手早い。
便宜上誦読されている部分でも、出来うる限り歌う方向を志向しているのは、復活大祭の奉神礼でも明らかである。そこではほぼ全ての祈祷文は信徒によって歌われ続ける。
随所で、神品と詠隊(聖歌隊)とがやりとりする「聯祷」がある。「主憐めよ」や「主賜へよ」で神品の祝文に応え「アミン」で締めくくる、一定の形式がある。大きく「大聯祷」「小聯祷」「重聯祷」「増聯祷」に区別されるが、奉神礼の部分ごとに前後関係から少しづつ変わった形をしている。
一日の定刻に起源のある奉神礼は、日中のものとして、一時課、三時課、六時課、九時課、日没後から払暁の間の夜間のものとして、晩課、晩堂課、早課がある。平日の日の出前から晩の一日の流れに沿って時課経は収録している。
復活大祭の前の大斎の期間には、初代教会の時代に洗礼に向けての教義教育の期間が充てられていた由来もあって、その他の期間と構造が大きく異なる場合が多く、旧約聖書の部分が沢山誦読される。
[編集] 聖体礼儀
聖体礼儀を参照。
[編集] 時課
正教会で通常「時課」の呼称は、一時課、三時課、六時課、九時課を指す。祈祷書は、誦経者は基本的に時課経を用いる。現在、教区ではこれらすべてを通年定時に行うことはまれであるが、修道院などでは、これらの祈祷が行われる。ロシア系の正教会では主日祭日の前晩祷を構成する晩課、早課、一時課をひとつなぎにして徹夜祷と呼ぶ。三時課、六時課は聖体礼儀の前に行なわれる。
一時課、三時課、六時課、九時課の構造は基本的には共通であるが、大斎期には構造が少し変わる。日により記憶する聖人等が異なる。
[編集] 晩課
本来、日没後の祈祷であるが、教区では時間をずらして日中に行うことがある。正教会の典礼上の一日は日没からはじまるため、晩課はその日の祈祷のはじまりであるともいえる。そのことはカフィスマ(詩篇の項を参照)の配置サイクルによく現れている。通常の週においては、土曜晩課に週の初めである第1カフィスマが充てられており、土曜早課に第19、20カフィスマが充てられる。
- 首誦聖詠:第103聖詠(詩篇102)を歌う(または誦読する)。
- 「主や爾に呼ぶ」に、讃頌《スティヒラ》:第140・141・129聖詠を句とし、間に讃頌を挟む。
- 聖入。「聖にして福たる」
- 提綱《ポロキメン》:この晩課のテーマ。神品と詠隊が応答する。(大斎期には「アリルイヤ」を歌う)
- 喩言《パリミヤ》:祭日には特に、合う旧約の指定個所を誦読する。
- 誦読「主や我等を守り罪なくして此の晩」
- リティヤ:祭日などに。熱切なる聯祷。
- 聖抱神者シメオンの祝文「主宰や、今爾の言に循ひ」
- 聖三祝文~天主経
- 讃詞《トロパリ》:此の日に歌うべきを歌う。
- 五餅の祝福:リティヤを行なった場合にはこれも。主食への祝福から参祷者の祝福へ。
[編集] 晩堂課
「晩堂大課」と「晩堂小課」がある。八調経を用いる通常の平日にも祝文が設けられているが教区では主に大斎期に行なう。「晩堂小課」は「晩堂大課」を短縮した形と言えなくもないが、順序の中で信経を誦読する位置が異なるなど、若干の融通がある。
[編集] 早課
本来、日の出前の祈祷であるが、教会の事情によっては時間をずらして前日の夕刻、あるいは当日の早朝に行うことがある。主日祭日の前晩祷は主日祭日の前日に行われる。徹夜祷の場合、晩課から連続して行われる。
カトリックの朝課および賛美課に相当する。カトリックでは独立の時課となっている賛美課(羅: laudes)は、正教会では早課の末尾におかれ、その一部となっている。
平日と主日ではその構造は若干異なる。
- 六段の聖詠:聖案《アナロギイ》の前で、指定の六つの詩篇を誦読する。
- 「主は神なり」:八調のうち指定の調で歌う。(大斎期には「アリルイヤ」を歌う)
- ネポロチニ(道に玷《きず》なく)あるいは多燭詞《ポリエレイ》:主日前晩にはポリエレイが歌われる。
- 提綱《ポロキメン》:この早課のテーマとなる句が誦読歌唱される。
- 福音誦読:主日では計11箇所の「復活の福音」が指定されており、これを通年順番に朗読していく。
- 規程《カノン》:第一~第九歌頌があり、各々「イルモス」、冠詞、讃詞を含む。第六歌頌の後にその日の小讃詞《コンダク》が誦読(または歌唱)される。
- 主の讃揚歌「凡そ呼吸ある者は主を讃揚げよ」:此の後の讃頌《スティヒラ》は、教区では通常、省略されている。
- 大詠頌:司祭のひとこえの後に、詠隊が歌う。これを行なわない場合には、ほぼ同様の部分を誦読する。
- 萬寿詞
[編集] パニヒダ
永眠者の為に行う奉神礼。土曜日の早課に準ずる形式である。
[編集] 関連資料
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