大山巌
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大山 巌（おおやま いわお、天保13年10月10日(1842年11月12日) - 大正5年(1916年)12月10日）は、幕末期の薩摩藩士。明治時代・大正時代の政治家・軍人。通称は弥助。雅号は赫山、瑞岩。字は清海。先妻は吉井友実の娘・沢子、彼女の病死後に再婚したのが明治4年岩倉使節団と共に留学した山川捨松である。考古学者・戊辰戦争研究家として著名な大山柏は次男、「昭和天皇最後のご学友」として知られる元貴族院議員・渡辺昭は孫、日米協会専務理事の久野明子は曾孫。
陸軍大臣、元帥陸軍大将従一位大勲位功一級公爵。沼津御用邸の近くに別荘を持っていた。
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[編集] 略伝
1842年、薩摩藩士・大山彦八綱昌の次男として生まれた（幼名岩次郎）。大山綱昌と西郷隆盛の父は実の兄弟であり、巌は西郷隆盛の従弟に当たる。薩英戦争参加で欧米の軍事に興味を持ち、江川太郎左衛門の塾で砲術を学び、戊辰戦争では「弥助砲」と呼ばれる大砲を開発するなど学んだ砲術をもって大いに戦功を挙げた。1869年、渡欧して普仏戦争などを視察し、西欧列強の陸軍軍事力に大きな衝撃を受けた。帰国後すぐに公職をすべて辞し、1870年から1873年の間ジュネーブに語学留学した。このときにロシアの革命運動家・レフ・メーチニコフと知り合う。後にメーチニコフが日本に赴任したのは大山巌の影響があったからともいわれている。
帰国後は従兄の西郷隆盛の後押しもあって昇進していき、1877年の西南戦争では政府軍の一員として戦ったが、精神的ダメージからその後大山が政治から距離を置くきっかけとなったと言われている（戦争後から寡黙になった）。また、この後二度と鹿児島に帰る事はなかった。ただし西郷隆盛の遺族とは親しく親戚づきあいを続けていたようである。
その後陸軍元帥となり、1904年からの日露戦争では満州軍総司令官として戦った。同じ薩摩藩出身者で海軍の東郷平八郎と並んで「陸の大山、海の東郷」と評された。明治時代末期には伊藤博文や井上馨らと並ぶ元老の一人にまで栄進し、陸軍では山県有朋と並ぶ大実力者となった。しかし、政治的野心や権力欲は乏しく、その経緯から皇室からは山県より高く評価された。
1916年、75歳で死去。東京で国葬の後、別荘のあった栃木県那須に葬られた。日本陸軍を創設した人物として、高く評価されている。
[編集] エピソード
[編集] 「ちゃり」（冗談好き）
大山は青年期まで俊異として際立ったが、壮年以降は自身に茫洋たる風格を身に付けるよう心掛けた。これは薩摩に伝統的な総大将のスタイルであったと考えられる。
日露戦争沙河会戦で、苦戦を経験し総司令部の雰囲気が殺気立ったとき、昼寝から起きて来た大山の「兒玉さん、今日もどこかで戦（ゆっさ）がごわすか」の惚けた一言で、部屋の空気がたちまち明るくなり、皆が冷静さを取り戻したという逸話がある。
[編集] 大食漢
従兄弟の西郷隆盛も大柄で肥満体だったが、大山もなかなかのものであった。しかもハイカラ好みでたいそうグルメであった。息子の大山柏の回想によると40cmの長さのあるウナギののった鰻丼を食べ、ビーフステーキとフランスから輸入した赤ワインが好物で、体重は最も重いときで95kgを越えていたという。その結果晩年は糖尿病に悩まされていた。
妻の捨松は友人への手紙で「夫はますます太り、私はますますやせ細っています」と愚痴をこぼしている。
[編集] 西洋かぶれ
大変に西洋文化へのあこがれが強く、また造詣も深かった。捨松との再婚の時の披露宴招待状は全文がフランス語で書かれた物で人々を仰天させたという。
陸軍大臣公邸を出たあとに建てた自邸はドイツの古城をモチーフとした物だった。しかし、見た目の趣味はお世辞にもいいとはいえない代物で、ここを訪ねた捨松の旧友（アメリカ人）にも酷評されている。巌はこの新居に満足していたが、妻・捨松は「あまりにも洋式生活になれると日本の風俗になじめないのでは」と、自分の経験から子供の将来を心配し、子供部屋は和室にしつらえていた。残念ながらこの建物は1923年の関東大震災により崩壊した。
また後藤象二郎、西園寺公望らと共に「ルイ・ヴィトンの日本人顧客となった最初の人」として、ヴィトンの顧客名簿に自筆のサインが残っている。
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