四十日抗争

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四十日抗争（よんじゅうにちこうそう）は、1979年に起きた自由民主党内の派閥抗争。自民党史上最も深刻な対立と言われる。

[編集] 概説

1979年の衆院選で自民党は248議席しか獲得できず、前回の1976年の衆院選の獲得議席249議席を下回った。1976年当時党総裁だった三木武夫は選挙結果を受け辞任に追い込まれており、当然の如く大平正芳総裁への責任を問う声が上がった。

しかし、大平は田中角栄の支えもあり、続投を表明。そのため、大平政権下で反主流になっていた福田派、中曽根派、三木派、中川グループは辞任要求を強めた。

主流派の大平派と田中派は中道政党との連立政権を模索し、反主流派は最終手段として自民離党、新党結成を画策するなど、党内は修復不可能なまでに分裂した。

自民党は首相候補が決まらないために、中々国会を開くことができなかった。国会開会の期限が迫ってきたので10月30日に特別国会を開会するも、開会日は首相指名投票なしで閉会という異常事態となる。

首相候補問題と大平首相の責任問題は党機関への一任することで進められていったが、その党機関が代議士会（衆院議員のみからなり非主流派優勢）とするか、両院議員総会（衆参両院の議員からなり主流派優勢）とするか駆け引きが行われた。

主流派の大平派と田中派は両院議員総会での首相候補決定を決断する。一方、反主流派は福田を首相候補とするために、「自民党をよくする会」を結成。反主流派は両院議員総会が行われるはずの党ホールを椅子でバリケードを作って封鎖し、物理的に両院議員総会を阻止しようとした。浜田幸一が反主流派と交渉に臨むも解決できず、交渉を打ち切って実力行使でバリケードを強制撤去し、何とか両院議員総会を開催にこぎつけた。両院議員総会では大平首相を首相候補とすることを決定するが、反主流派はそれを無視する形で独自に福田赳夫を首相候補とすることを決定した。

党分裂を回避したい一部勢力は、分裂回避のために、「大平総理・福田総裁」という総理・総裁分離案、「次回総裁公選を翌年1月に繰り上げ・翌年1月まで大平体制維持」とする妥協案を出したが、大平や田中がこれを蹴って不調に終わる。

11月6日、首班指名選挙が行われるが、同じ自民党から大平正芳と福田赳夫という二人の内閣総理大臣候補が出現。決選投票にまでもつれ込み、大平138票・福田121票の僅差で大平が指名された。組閣において、首班指名で大平に投票した新自由クラブと閣内連立を模索して閣僚入りさせようとしたが、反主流派が反発して組閣は難航した。11月9日、大平首相が文相を臨時兼任する形で第2次大平内閣が発足させ、連立枠としての閣僚人事の余地を残す形で急場を凌いだ。11月20日、最終的に閣内連立を断念し、文相は自民党から起用し、抗争は一応終結した。

以後、10月7日の総選挙から11月20日の大平内閣の本格的発足までの約40日間の自民党内抗争を四十日抗争と呼ぶようになった。

しかし、この対立感情はその後も依然としてくすぶり続け、翌年のハプニング解散に繋がる。

[編集] 衆議院保守系議員の首班指名投票（決選投票）

*大平派
大平　正芳　鈴木　善幸、福永　健司、小川　平二、小山　長規、天野　公義、
　　　　　　斎藤　邦吉、金子　岩三、田沢　吉郎、佐々木義武、金子　一平、
　　　　　　谷垣　専一、服部　安司、村山　達雄、田中　六助、伊東　正義、
　　　　　　木野　晴夫、増岡　博之、宮沢　喜一、水野　　清、塩崎　　潤、
　　　　　　阿部　文男、安田　喜六、加藤　紘一、栗原　祐幸、住　　栄作、
　　　　　　瓦　　　力、今井　　勇、宮崎　茂一、津島　雄二、菊池福治郎、
　　　　　　戸沢　政方、堀内　光雄、原田昇左右、逢沢　英雄、池田　行彦、
　　　　　　大坪健一郎、渡辺　省一、栗山　　明、丹羽　雄哉、小沢　　潔、
　　　　　　浜野　　剛、近藤　元次、浦野　烋興、岸田　文武、麻生　太郎、　
　　　　　　小里　貞利、白川　勝彦、北口　　博、東家　嘉幸、粕谷　　茂、
福田　赳夫
棄権無効票　相沢　英之、小坂善太郎、

*田中派
大平　正芳　江崎　真澄、久野　忠治、西村　英一、二階堂　進、足立　篤郎、
　　　　　　田村　　元、金丸　　信、井原　岸高、竹下　　登、亀岡　高夫、
　　　　　　小沢　辰男、小渕　恵三、小宮山重四郎、橋本龍太郎、箕輪　　登、
　　　　　　山村新治郎、松野　幸泰、山下　元利、田村　良平、大村　襄治、
　　　　　　小沢　一郎、渡部　恒三、高鳥　　修、羽田　　孜、斎藤滋与史、
　　　　　　山本　幸雄、奥田　敬和、左藤　　恵、石井　　一、佐藤　守良、
　　　　　　林　　義郎、竹中　修一、梶山　静六、染谷　　誠、渡辺　紘三、
　　　　　　愛野興一郎、保岡　興治、村岡　兼造、愛知　和男、中村喜四郎、
　　　　　　中島　　衛、後藤田正晴、西田　　司、福島　譲二、山崎武三郎、
　　　　　　保利　耕輔、畑　英次郎、大城　真順、内海　英男、木村　俊夫、
　　　　　　佐藤　信二、竹内　黎一、船田　　元、田原　　隆、田中　角栄、
　　　　　　橋本登美三郎、渡部　正郎、
福田　赳夫
棄権無効票

*福田派
大平　正芳　園田　　直
福田　赳夫　山口シヅエ、倉石　忠雄、早川　　崇、中野　四郎、坊　　秀男、
　　　　　　秋田　大助、田中　龍夫、白浜　仁吉、渡海元三郎、始関　伊平、
　　　　　　久保田円次、正示啓次郎、細田　吉蔵、安倍晋太郎、藤尾　正行、
　　　　　　塩川正十郎、福家　俊一、加藤　六月、三ツ林弥太郎、田邊　国男、
　　　　　　村田敬次郎、森　　喜朗、山崎平八郎、国場　幸昌、三塚　　博、
　　　　　　中島源太郎、越智　道雄、小泉純一郎、松本　十郎、村上　茂利、
　　　　　　三枝　三郎、玉沢徳一郎、鹿野　道彦、塚原　俊平、宇野　　亨、
　　　　　　石橋　一弥、大塚　雄司、石川　要三、佐藤　　隆、佐野　嘉吉、
　　　　　　田名部匡省、狩野　明男、池田　　淳、中村正三郎、佐藤　一郎、
　　　　　　亀井　静香、吹田　　愰、宮下　創平、
棄権無効票

*中曽根派
大平　正芳　越智　伊平、大石　千八、木村竹千代、野中　英二、武藤　嘉文、
　　　　　　渡邉美智雄、
福田　赳夫　原　健三郎、中曽根康弘、稲葉　　修、桜内　義雄、山中　貞則、
　　　　　　八田　貞義、倉成　　正、天野　光晴、上村千一郎、宇野　宗佑、
　　　　　　中尾　栄一、藤波　孝生、森下　元晴、松永　　光、小此木彦三郎、
　　　　　　唐沢俊二郎、江藤　隆美、片岡　清一、山崎　　拓、楢橋　　進、
　　　　　　野田　　毅、中村　　靖、深谷　隆司、渡辺　秀央、稲垣　実男、
　　　　　　水平　豊彦、玉生　孝久、湯川　　宏、谷　　洋一、関谷　勝嗣、
　　　　　　堀之内久男、熊川　次男、亀井　善之、牧野　隆守、佐藤　孝行、
棄権無効票

*三木派
大平　正芳　有馬　元治、鯨岡　兵輔、塩谷　一夫、地崎宇三郎、
福田　赳夫　三木　武夫、井出一太郎、田中伊三次、石田　博英、赤城　宗徳、
　　　　　　河本　敏夫、加藤常太郎、森山　欽司、丹羽　兵助、毛利　松平、
　　　　　　渋谷　直蔵、海部　俊樹、藤井　勝志、伊藤宗一郎、野呂　恭一、
　　　　　　大西　正男、谷川　和穂、菅波　　茂、坂本三十次、橋口　　隆、
　　　　　　近藤　鉄雄、森　　美秀、山下　徳夫、志賀　　節、辻　　英雄、
棄権無効票　北川　石松、工藤　　巌、

*中川グループ
大平　正芳
福田　赳夫　長谷川四郎、松沢　雄蔵、長谷川　峻、中川　一郎、古屋　　亨、
　　　　　　中村　弘海、石原慎太郎、上草　義輝、高橋　辰夫、
棄権無効票

*旧水田派
大平　正芳　大野　　明、三原　朝雄、中山　正暉、
福田　赳夫　佐藤　文生、稲村佐近四郎、
棄権無効票

*旧椎名派
大平　正芳　綿貫　民輔、浜田　幸一、
福田　赳夫　荒船清十郎、
棄権無効票　椎名　素夫

*旧石井派
大平　正芳　坂田　道夫、　　　　
福田　赳夫
棄権無効票　灘尾　弘吉、

*無派閥
大平　正芳　奥野　誠亮、鴨田利太郎、小坂徳三郎、藤田　義光、古井　喜実、
福田　赳夫
棄権無効票　根本龍太郎、

*新自由クラブ
大平　正芳　河野　洋平、田川　誠一、山口　敏夫、田島　　衛、
福田　赳夫
棄権無効票　西岡　武夫、