勤労の義務
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勤労の義務(きんろう の ぎむ)とは、日本国憲法第27条第1項に勤労の権利と並んで置かれた義務規定であり、教育・納税と並ぶ日本国民の3大義務とされているものである。
この規定の由来については諸説あるが、一番有力なのは、元農林大臣の石黒忠篤や代議士の竹山祐太郎が、二宮尊徳の「報徳思想」の精神に則って、日本国民が自らの勤労の力で太平洋戦争で荒廃した祖国を再建させてゆこうという発想から提案されたものだと言われている。
以上の経緯から、憲法の規定では、労働権の保障と対応して、一種の「精神的規定」にとどまっており、国民への強制労働を許容するものではなく、違反者に対する具体的な罰則を課する性質のものでもない。但し、働く能力と機会があるにも関らず、働こうとする意思を持たずに労働を避けている者には生活保護の支給などの社会国家的給付の面で不利を蒙ってもやむを得ないとする考え方がある。