労研饅頭

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労研饅頭（ろうけんまんとう）は、愛媛県松山市内にある「労研饅頭たけうち」で太平洋戦争前から（一時途絶期あり）製造販売されている「饅頭」の一種であり、今でも松山の一部の人に根強い人気がある菓子である。和菓子の饅頭ではなく、中国のマントウに近く、蒸しパンに類似している。また、岡山県岡山市でも同種の饅頭が販売されている。

[編集] 特徴

直径10cm前後、重さ60g前後の蒸しパン状のものである。小麦粉でできた生地を酵母菌で発酵させ、蒸し上げたものである。豆類を入れたもの、よもぎやココアなどを練り込んだものや、中に餡を入れたものもあり、種類は豊富である。

製造発売元の「たけうち」では、元祖は「黒大豆」、一番人気は「うずら豆」としている。

• 現在の種類

味つき　　うずら豆、黒大豆、よもぎ味付け、ココア、レーズン、バター、チーズ

あん入り　つぶあん、こしあん、よもぎつぶあん、よもぎこしあん、しろあん、かぼちゃあん、いもあん

[編集] 沿革

昭和初期、松山市では深刻な不況に襲われ、夜学生が学資を確保することが困難であった。それを見かねた私立松山夜学校（現在の私立松山城南高等学校）奨学会では、夜学生の学資を供給する事業がないか模索していた。その頃、岡山県倉敷市にあった労働科学研究所が満州（現在の中国東北部）の下層労働者の主食であった「饅頭」を日本人向けにアレンジし、岡山県や京阪神で販売していることを聞きつけた。饅頭は安価に製造できるため、これを松山に持ち込み、販売し学資を確保するとともに夜学生の主食にもしてもらうことを企画したのである。

こうして1931年に松山で「労研饅頭」として販売が開始されている。「労研」とは労働科学研究所を指す。また、饅頭を「まんとう」と読むのは中国東北部の主食「マントウ」が起源だからである。なお、当時は4個で5銭、松山市内の学校や軍内で販売され、夜学生の学資確保に貢献したという。

その後、労研饅頭は竹内商店（現在の販売店「たけうち」の前身）として個人商店となったが、戦火の拡大により1943年には小麦粉が入手難となり販売休止に追い込まれる。しかし、受け継いだ酵母菌は守り通され、終戦後の1945年には早くも販売が再開されている。なお、京阪神では戦火の中で労研饅頭の酵母菌が途絶えてしまい、労研饅頭そのものが消えてしまった。戦後も京阪神では復活することはなかった。

戦後は洋菓子などに押されたが、保存料などを使わない自然食であることが見直され、松山の名物として定着している。

[編集] 労研饅頭の仲間

労研饅頭の故郷であった岡山県でも戦火の中で酵母菌が途絶えてしまい、一時は労研饅頭が消えてしまったが、岡山市の「三笠屋」という業者が松山の「たけうち」から酵母菌を株分けしてもらい、労研饅頭が復活した。現在も岡山市のごくわずかな商店のみであるが、三笠屋が製造した黒豆入りと餡入りの２種類の労研饅頭が「ろうまん」の商標名で販売されている（松山のものよりサイズは小さい）。

なお、日曜日には三笠屋の休日となっており、消費期限が当日限りであるため、日曜日の販売はない。