共感覚
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共感覚(きょうかんかくsynesthesia、ギリシア語で「共」+「感覚」)とは、視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚の五感が未分化である人間の赤ちゃんのさまざまな感覚が関連しあうこと。
例えば、7という文字に青い色を感じたり、音階のミの音に緑色を感じたり、ハンバーグの形が苦い味に感じたりするなどである。その後の成長による感覚の発達にともなってこうした共感覚は失われていく。しかしながらたまにこうした共感覚を保持したままの大人もいる。特に、その場合に共感覚と呼ぶ場合が多い。
女性の高い声を「黄色い声」などと言うように、人類、あるいは特定の環境・文化に共通の感覚はある。しかし、共感覚を持たない人には感じられない先述のような感覚(数字に色を見るなど)を、共感覚者は切実な実体験として感じている。
共感覚の中でも、音楽や音を聞いて色を感じる人は「色聴」といわれる。絶対音感を持つ人の中には、色聴の人がいる割合が高い。音を色で判断しているとすれば、音を判別するとっかかりが通常より多いことも一因と考えられる。
日本人には色聴が多いと言われることがあり、少なからずヤマハ音楽教室が階名教育の際に使用している色(赤=ドなど)が影響していると言われたが、それと一致しない場合が多く、実際にはほとんどの音楽家・作曲家にとっては無関係である。
目次 |
[編集] 共感覚者の有名人
(推測されているものを含む。)
- 稲蔭正彦
- 宮沢賢治 (詩人、童話作家)
- ワシリー・カンディンスキー (画家)
- アレクサンドル・スクリャービン (作曲家)
- オリヴィエ・メシアン (作曲家)
- マイルス・デイビス (音楽家)
- ウラジーミル・ナボコフ (作家)
- リチャード・ファインマン (物理学者)
- ニコライ・アンドレイェヴィチ・リムスキー=コルサコフ (作曲家)
- マイケル・トーキー (作曲家)
- スティービー・ワンダー (音楽家)
[編集] 共感覚者による記述など
[編集] 共感覚に関する解説
[編集] 関連項目
[編集] 関連書
- ジョン・ハリソン 松尾香弥子 訳 『共感覚』もっとも奇妙な知覚世界 新曜社 ISBN 4-7885-0998-9
- リチャード・E. シトーウィック 山下篤子 訳 『共感覚者の驚くべき日常』形を味わう人、色を聴く人 草思社 ISBN 479421127