伊藤裕之
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
伊藤裕之(いとうひろゆき)は、スクウェア・エニックスのゲームクリエイター。作詞等を手がける場合のペンネームは「シオミ」。動物占いはコアラ。
目次 |
[編集] 概要
大学卒業後、スクウェア(現スクウェア・エニックス)に入社。最初はデバッグや効果音などの仕事をしていたが、FFIVで、趣味のF1観戦から思いついたアクティブタイムバトルシステム (ATB) を発明。この戦闘システムは特許を取り、現在のファイナルファンタジーシリーズの骨格となった。アビリティシステムやジャンクションシステムといった独創的なゲームシステムも開発している。また、ゲームデザインとは別に「シオミ」の名で、FFVのアレンジ曲や、FFIXの主題歌の作詞なども手掛けている。2006年にはFFXIIのディレクター(ゲームデザイン)を担当した。
好きなゲームはウィザードリィ、ウルティマオンライン、ファイナルファンタジータクティクス。
[編集] 経歴
年 | 作品 | 詳細 |
1987 | FF1 | デバッグ |
1988 | FF2 | デバッグ |
---|---|---|
魔界塔士サ・ガ | シナリオ | |
1989 | スクウェアのトム・ソーヤ | 企画 |
1990 | FF3 | 効果音・「エリーゼのために」演奏。 |
1991 | FF4 | アクティブタイムバトル(ATB)発明、スクウェアが特許獲得。 |
1992 | FF5 | バトルデザイン、ジョブ・アビリティシステム開発。 |
FF5 ディアフレンズ(CD) | (FF5の楽曲のアレンジCD)大森林の伝説/作詞。 | |
1994 | FF6 | ディレクター(北瀬佳範と共同)、主にバトルデザイン面で魔石システムなどを開発。 |
FF6 オリジナルサウンドトラック(CD) | (ゲーム未収録曲)近付く予感/作詞。 | |
ファイナルファンタジー (OVA) | 監修(複数人数参加) | |
1995 | クロノトリガー | イベントプラン。 |
1997 | FFT | バトルディレクター、FF5をより発展させたジョブアビリティを搭載したSRPG。 |
1999 | FF8 | バトルデザイン、カードゲーム・ジャンクションシステム開発。 |
おでかけチョコボRPG | ゲームデザイン | |
2000 | FF9 | ディレクター、システムから主題歌の作曲まで広範に手がける。プレイステーションアワード2000、グランプリ受賞5部門制覇。 |
Melodies of life(CD) | シオミ名義で作詞、オリコン初登場10位。作曲植松伸夫/歌白鳥英美子。 | |
2002 | テトラマスター | システム原案。 |
2005 | いただきストリートSPECIAL | 協力 |
2006 | FF12 | ディレクター(ゲームデザイン)プレイステーションアワード]]2006、ダブルプラチナ受賞。 |
[編集] ゲームデザイン
一般的にRPGは、時間をかけて育てれば誰でもクリアできるバランスの作品が多く、伊藤作品でもそういったやり込み要素は多いが、レベル上げ禁止やタイムアタックによるプレイヤー自身のスキルによってもクリア出来るバランスを非常に重視している。また、ボスモンスターを倒す事はプレイヤーの実力を試す試練であり、経験値といったご褒美は不要であるという持論も持っている。ただし、育成をせずにボスを倒すテクニックの多くは、アイテムやアビリティで敵の攻撃を封じる力押しやハメ技である事が多く、通常のプレイの際にそれらを駆使するとバランスを壊す面が少なからずある。これに関して一緒に仕事をしたスタッフは「レベルを上げるより装備やライセンスを集めたほうが強いと思います。人間の肉体が短期間で成長するわけがなく、新兵だろうと武装が強いほうが勝つのが伊藤の持論なので」と伊藤が近代戦的な思想を持っている事を語った。
FFIX以降は、FFXIIでディレクター(ゲームデザイン)として参加。ガンビットを搭載したシームレスな戦闘システムADBは、FFXIIのエグゼクティブプロデューサーである河津秋敏から『ATBはこの形にならなければ完成ではなかった』と絶賛された。今後は、FF12のエンジンを使用したシミュレーションゲームなどの構想を練ってはいるが、当分FFに関わるつもりは無いらしい。
[編集] ゲームシステムの構築
[編集] アクティブタイムバトルシステム(ATB)
FFIVにて、アクティブタイムバトルシステムを発明。ターン制のRPGには緊張感がなく眠いと評価し、フェラーリのセミオートマチック技術を参考に『セミリアルタイムバトルシステム』を発明、これを『アクティブタイムバトルシステム』と名付けた。このシステムは特許をとり、現在もFFシリーズの人気を支える売りとなっている。
[編集] アビリティシステム
FFVにてアビリティシステムを発明。アビリティ(能力)を自由に取り外し・組み合わせを可能とした。FFVでは『コマンドアビリティ』と『ジョブ特性』という2つの概念しかなかったが、FFTで『コマンドアビリティ』『サポートアビリティ』『リアクションアビリティ』『ムーブアビリティ』の4体系に整理した。
[編集] 担当したゲームシステム
- アクティブタイムバトルシステム:ファイナルファンタジーIV以降
- ジョブアビリティシステム:ファイナルファンタジーV
- ジョブアビリティシステム(ver.FFT):ファイナルファンタジータクティクス
- アクティブターンシステム:ファイナルファンタジータクティクス
- アクセサリシステム:ファイナルファンタジーシリーズ
- ※FFV以降全般。
- 魔石システム:ファイナルファンタジーVI
- ジャンクションシステム:ファイナルファンタジーVIII
- ※本人曰く実験作。
- おでかけチョコボRPG:ファイナルファンタジーVIII
- ※時田貴司命名。
- 精製システム:ファイナルファンタジーVIII
- ※カード精製はスタッフ発案。
- 装備アビリティシステム:ファイナルファンタジーIX
- アクティブタイムイベント:ファイナルファンタジーIX
- モグネット:ファイナルファンタジーIX
- ※FFIIIDS版とはやや異なる。
- アクティブディメンションバトルシステム:ファイナルファンタジーXII
- ライセンスシステム:ファイナルファンタジーXII
- ※ライセンスボード担当。
- ガンビットシステム:ファイナルファンタジーXII
- ※松野泰巳命名・発案だったが、自由度を優先しFFIVのモンスターAIをベースにした物へ改変。
[編集] カードゲーム
ファイナルファンタジーVIIIから登場したゲーム内ミニゲームで、トリプルトライアド、クアッドミスト(テトラマスター)の2種類のカードゲームをデザインした。 それぞれ現実のカードゲームやオンラインゲーム等に発展したが、理不尽な乱数の要素が介入するため、テトラマスターの対人戦に不満を持つユーザーも多い。FFVIIIではスタッフの要望で精製によってカードをアイテムに改造できたが、FFIXでは廃止されている。
- トリプルトライアド:ファイナルファンタジーVIII
- トリプルトライアド:バンダイカードゲーム
- トリプルトライアド:windowsファイナルファンタジーVIIIデスクトップアクセサリー
- クアッドミスト:ファイナルファンタジーIX
- テトラマスター:PlayOnlineテトラマスターFromFINALFANTASY IX
※伊藤裕之はテトラマスターには直接関わっていない。