仮面ライダー555 パラダイス・ロスト
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『仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』 （かめんライダーファイズ パラダイス・ロスト）は、連続テレビ特撮ドラマ『仮面ライダー555』を基にして2003年8月16日より全国東映系映画館にて劇場公開された劇場用オリジナル特撮映画作品(『爆竜戦隊アバレンジャー DELUXE アバレサマーはキンキン中!』と併映）。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 概要
本作は劇場版『龍騎』『剣』同様、テレビシリーズとはリンクせず、パラレルワールドとなっている。脚本の井上敏樹は当初から「絶対繋がらない」と発言していたが、東映プロデューサーの白倉伸一郎は「テレビシリーズ最終回後、こういう可能性の未来もあり得る物語」と発言し（結果的に井上の言うとおりパラレルワールドとなった）、スタッフ間で多少の意見の不一致が見られた。
本作はサブタイトルが決定するのに時間がかかっており、クランクアップまでは『仮面ライダー555 NEXT』というタイトルで進行していた。
劇場公開中に本作をベースとした小説版が発売されている。ストーリーや人物描写は映画とは違っているが、テレビシリーズと関連している部分もある。
HERO SAGAでは本作の前日談が掲載された。
[編集] ストーリー
遠くない未来。今や世界は人類の進化系的存在・オルフェノクの組織・スマートブレイン社が完全に統治し、ほぼ全ての人間がオルフェノクと化していた。
どこかの国。残りわずかとなった人間たちは人里離れた居住区に追いやられ、オルフェノクの襲撃に脅える終末の日々を過ごしていた。そんな状況に反逆する血気盛んな一部の若者は解放軍を結成。この絶望的事態を逆転する唯一の手段として、スマートブレイン社が持つ二つの"帝王のベルト"の奪取を試みるも戦力の差はぬぐい難く、敗北を重ね続ける。
“人間はこのまま滅びを待つだけなのか？”そんな暗い雰囲気の中、解放軍の少女・園田真理は人類に味方するオルフェノク=木場・海堂・長田=と共に待ち続ける。数年前から行方が知れない“救世主”・ファイズの帰還を……。
果たして、ファイズ=乾巧=は何処にいるのか？そして“帝王のベルト”の装着者となるのは誰なのか?
[編集] TVシリーズとの相違点
- オルフェノクが物語開始時点ですでに世界を実質的に掌握している。
- 仮面ライダーデルタ（デルタギア）が登場しない。
- 村上が首から上だけの状態で生存している。
- ラッキークローバーのメンバーが登場しない。
- 同じく流星塾メンバーも登場しない。
- 海堂が死亡する(TVシリーズでは死んでいない)
- 帝王のベルトが登場する
- スマートブレイン1代目社長が登場しない
[編集] 登場人物・キャスト
[編集] テレビシリーズからの登場
- 劇場版の世界はテレビシリーズとはパラレルワールドにあたるため、基本設定は同じであるが細部が異なる。テレビシリーズの設定についてはこちらを参照。
- 乾巧（半田健人）
- 18歳。仮面ライダーファイズに変身し人間解放軍の一員として戦っていた青年。ライオトルーパー部隊との戦いで行方不明になり、記憶喪失となった彼はミナのもとで隆として暮らしていた。しかし仮面舞踏会で真理と踊ったことにより記憶を取り戻し、再びファイズとなる。その後サイガに真理を誘拐され、ついてくる啓太郎を危機に巻き込みたくないという想いからバイクにつんでいた銃をわざと落とし、啓太郎が銃を拾っている間に一人で敵地に赴く。親友の木場・オーガと戦う中で、真理の目前でオルフェノクに変身した。木場の変身したオーガに勝利したがとどめは刺さず、最後まで彼を信じていた。
- 園田真理（芳賀優里亜）
- 16歳。人間解放軍の象徴的存在。巧＝ファイズが帰って来ると信じ救世主の存在を広める。そして人々に希望を与えるため、仮面舞踏会を計画。巧（隆）が出席し彼の記憶を取り戻させた。後にサイガの襲撃を受け、解放軍の戦意を削ごうとするスマートブレインに見せしめのため拉致される。しかし巧に助けられ、エラスモテリウムオルフェノクの毒針から木場に庇ってもらった。
- 菊地啓太郎（溝呂木賢）
- 21歳。人間解放軍の一員。彼も巧が帰ってくると信じている。悪化する状況の中では無力だったが、終盤では命を賭けた決意を固め…。
- 草加雅人（村上幸平）
- 21歳。仮面ライダーカイザに変身し、オルフェノクと戦う青年。人間解放軍の用心棒でもある。しかし人類の為に戦っているのではなく、愛する真理の為だけにしている事であり、遂には巧に代わって自らが救世主になろうとする。解放軍がサイガの空襲を受けた際に挑発され、戦ったが手も足も出ず、レオに心臓を貫かれ灰化した。
- 木場勇治（泉政行）
- スマートブレインに刃向かうオルフェノク。行方不明になっている巧は必ず帰ってくると信じている。（オルフェノク三人に共通することであるが）正体を明らかにし、人間の味方としての立場をとるが、実際には疎まれる状態にある。帝王のベルトを奪うためスマートブレインに潜入したが、巨大オルフェノクに負けた上にスマートレディが化けた真理に騙され、オルフェノクとして生きる事を決意してオーガの適合者となりファイズを抹殺しようとする。しかし人間の心は最後まで失っておらず、エラスモテリウムオルフェノクの毒針から真理を庇い死亡。
- 長田結花（加藤美佳）
- スマートブレインに刃向かうオルフェノク。本作では啓太郎ではなく、完全に海堂一筋になっている。帝王のベルトを奪うためスマートブレインに潜入したが、エラスモテリウムオルフェノクの毒針から海堂を助け死亡。
- 海堂直也（唐橋充）
- スマートブレインに刃向かうオルフェノク。口では人間が嫌いと言っているが本当は人間を愛している。結花のことを鬱陶しがっていた。しかし帝王のベルトを奪うためスマートブレインに侵入した際に結花に助けられ、その死の直前に本当は好きだったと告白した。その直後、エラスモテリウムオルフェノクに無謀な戦いを挑み餌食となってしまった。
- 村上峡児（村井克行）
- スマートブレイン社長。何故か頭部だけの存在になり、生命維持装置の中にいる。
- 石森プロによる模型誌連載小説『HERO SAGA MASKED RIDER 555 EDITION-ロスト・ワールド-』（本作品のプレストーリーに相当）によると首だけとなった理由は乾巧の変身したファイズブラスターフォームとの戦いでファイズブラスターで首を切られたからである。その後、レオに救出され三原修治から奪ったデルタギアで天のベルトと地のベルトを開発する。また世界中の人間に対し、自らの開発した触れると灰化・もしくはオルフェノクに覚醒する青いバラをばら撒くことで大量の人間をオルフェノクへと覚醒させた。
- スマートレディ
- スマートブレイン社のスポークスウーマン。
[編集] 本作のみの登場
- ミナ（黒川芽以 幼少時代：志田未来）
- 記憶喪失の巧（隆）と暮らす少女。父親の後を継いで靴屋を営んでいる。ガサツでズボラと自称しているが心優しい性格の持ち主で、木場達三人のオルフェノクに味方をしていた事で、近所の中年達から陰湿な嫌がらせを受けてもいた。靴の製作の腕は確かで、ドレスの製作に関しても才能がある。巧が記憶を取り戻してしまった事で強がって巧を拒絶するが、彼の優しさに心を開く。だがその直後、ファイズギアを奪い取ろうとした水原の銃弾から巧を庇い、命を落としてしまう。そのとき発した言葉が巧ではなく隆であり、最後まで巧を隆として認識していた。
- 水原（速水もこみち）
- 人間解放軍のリーダー。勇猛果敢に戦うが、その反面、自分勝手な性格で『帝王のベルト』を手に入れる為に他の仲間達を危険にさらし、ファイズギアの所有者である巧を謀殺しようとする等、手段を全く選ばない。対オルフェノク用スパイラル弾を勝手に持ち出してスマートブレイン本社に潜り込むが、失敗して自分一人でおめおめと逃げ帰り、自らの責任をスパイラル弾を開発した野村に擦り付ける等、無責任さも見せるとてもリーダーの器ではない人物である。自らがベルトの力で救世主になると言っておりファイズギアを奪い取るべく巧を殺そうとするが、巧を庇ったミナを殺してしまい、その後、ベルトの返却を求めた木場を倒すべく、巧から奪い取ったファイズギアで変身を試みるが、オルフェノクでない水原が使用できるはずもなく、失敗。それでも木場を殺そうと手榴弾で爆殺を試みるが、全く効かない上に爆風で吹き飛ばされたホースオルフェノクの魔剣が胴体に突き刺さり死亡。自分勝手な行動ばかりを取って多くの人達を死に追いやった男のあっけない最期であった。
- 野原（大高洋夫）
- 人間解放軍の武器開発担当。オルフェノク対抗の為、対オルフェノク用スパイラル弾を開発するが、効果はさっぱりであり、あまり優秀では無さそう。だが終盤ではギア不適合者でも服用すれば一度だけベルトで変身できるドリンク剤「変身一発」を、ある人物に与えることで大きな功績をあげた。
- レオ（ピーター・ホー）
- 仮面ライダーサイガに変身する外国人の青年で、ラッキークローバーのメンバー達同様に、上級のオルフェノク（劇中でオルフェノク化はしない）。背中上部にスマートブレインのロゴの刺青が彫ってある。変身コードの『変身』を言う以外には常に英語を話す。『天のベルト（サイガギア）』の力で人間解放軍を圧倒し、カイザ=草加も倒している。態度及び言動からは自分の強さに自信を持っていることが伺えるがそれ故相手をなめてかかることが多い（ファイズとの決戦ではアクセルフォームにスピード勝負を挑むもフライングアタッカーを破壊された）。コロシアムに現れた巧=ファイズと激闘を繰り広げるが、トンファーエッジでの突撃攻撃を受け流され、逆にカウンターのファイズエッジをうけ死亡。同時に『天のベルト』も完全に破壊。
- スマートブレインの黒幕（納谷悟朗、加藤精三、飯塚昭三）
- 村上より上位の地位に位置する、スマートブレインの真の支配者。3人存在し、映像によって村上たちに指示を出すが実際に姿を現すことは無く、正体も明らかではない。キャストの納谷悟朗はショッカー・ゲルショッカー・デストロン・ブラックサタン首領及びデルザー軍団の岩石大首領・『仮面ライダーBLACK RX』クライシス皇帝等の仮面ライダーシリーズ敵組織首領の声優。加藤精三は『仮面ライダーBLACK RX』ジャーク将軍の声優。飯塚昭三は『仮面ライダーBLACK』大神官ダロム・『仮面ライダーBLACK RX』ボスガンの声優。
[編集] スタッフ
[編集] 主題歌
[編集] 小説版
『555（ファイズ）』のタイトルで、劇場版が公開中の2003年8月25日に角川書店から発売された（桜庭一樹著）。『仮面ライダー555』の青春ドラマとしての側面を重視した造りで、映画では出番の少なかったミナや、とことん身勝手だった水原にも読者が共感できるよう、人物の内面がじっくりと書き込まれている。反面、サイガギアが存在せず適格者であるレオも登場しないなど、アクション描写は簡素化されている。その他、「仮面ライダー」という単語が登場するなどの設定面での差異もある。
[編集] ギネスブック認定
さいたまスーパーアリーナで行われた10,000人のエキストラロケ・ファイナルシーンが話題となり、一つの映画での出演者としては史上最高としてギネスブックに公認された（応募総数は90,000人・関係者の話によれば99,000人まで応募総数は伸びたと言う）。その参加者にはm.c.A・Tや真田アサミも含まれている（しかし作品中に真田の姿は確認できない）。
ラストのスタッフロールでは出演した全員が紹介されており「THANK YOU!」（ディレクターズカット版では「SEE YOU AGAIN!」）と書かれている。
公開前、東映プロデューサー・白倉は「ストーリー上、どうしてもこういう場面が必要だったので決行した」と発言したがテレビシリーズ終了後、「まず最初にアリーナに1万人集めることから決めて、それに合わせて話を作った」と一転する発言をした。
