亀井茲親
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亀井 茲親 （かめい これちか、寛文9年4月（1669年） - 享保16年5月29日（1731年7月3日））は江戸時代前期の外様大名。第三代石見国津和野藩主。浅野内匠頭長矩の以前に勅使接待役をつとめた大名で、この時に吉良上野介義央から“イジメ”を受けたといわれる。通称は松之助(まつのすけ)、官位は従五位下・能登守(のとのかみ)、のち隠岐守(おきのかみ)。
寛文9年(1669年)4月、津和野藩主亀井茲政の五男として津和野にて誕生。母は水崎豊庵の娘。はじめ同藩の永代家老家多胡家に養子に入っていたが、長兄茲朝が死去し、次兄茲次も病にかかり津和野で療養することになったため、兄達に代わって茲政の後継となり、延宝8年(1680年)2月19日将軍徳川家綱にはじめて謁見した。天和元年(1681年)2月27日に十三歳で4万3000石の家督を相続。貞享元年(1684年)12月25日従五位下能登守に叙任、元禄元年(1688年)6月10日はじめて領地津和野に入った。元禄4年(1691年)9月1日奥詰となり、10月4日通称を隠岐守と改める。さらに元禄5年(1692年)6月5日には外様大名としては異例の雁の間詰めが許された。茲親は儒学を新井白石に、絵画を狩野洞春に学び、家臣たちにも伊藤東涯・室鳩巣・山鹿素行などに師事させて文教政策に尽力し、徳川綱吉の文治政治に恭順する姿勢を示した。幕府の勤めも善くし、元禄9年(1696年)2月14日には中野の犬小屋普請手伝いで時服十領を賜っており、さらに元禄10年(1697年)の牛込出火の際にも防火の労を賞せられている。
また三度に渡って勅使饗応役をつとめあげたことでも知られる。しかし元禄11年(1698年)の役目のおりには高家吉良上野介義央の陰湿なイジメを受けたといわれ、いよいよ堪忍できなくなった玆親が殿中刃傷に及びそうになったところを、家老の多胡外記真蔭が｢菓子源氏巻｣と称して吉良に賄賂を送って玆親をいじめないようにと手回ししてくれたおかげで事なきを得たといわれる。『仮名手本忠臣蔵』に登場する桃井若狭助と加古川本蔵は茲親と多胡をモデルにしたものである。
宝永5年(1708年)8月には京都へ上って禁裏造営を手伝い、3万5840両という巨額の金を費やし、この功で宝永6年(1709年)10月、中御門天皇から直々に直綱の刀と新勅撰集を賜り、12月には幕府からも時服十領を賜った。さらに同年には領内の高津蟠竜湖の疎水を完成させた。また寺社政策にも熱心であり、宝永7年(1710年)には領内に戸田柿本神社を造営し、享保8年(1723年)には高津柿本社の千年祭を開いて、同社は朝廷より正一位を受けている。享保2年(1717年)1月の中橋からの出火、また続く6月の小博馬町出火の時には火消し大名として活躍し、幕府からも賞された。享保16年(1731年)5月29日に津和野にて没する。享年六十三歳。島根県鹿足郡津和野町後田の永明寺に葬られた。法名は法山祖応笠仙院。妻は宗対馬守義真(対馬国府中藩主10万0000石格)の娘であった。
