下痢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
下痢(げり)とは、健康時の糞と比較して、非常に緩いゲル(粥)状・若しくは液体状の糞のことである。主に消化機能の異常により、人間を含む動物が患う症状である。軟便(なんべん)ともいう。日本語特有のオノマトペを伴った俗な表現では、げりぴーやぴーぴーともいわれる。
軟骨魚類・両生類・爬虫類・鳥類および一部の原始的な哺乳類は、下痢とよく似た軟らかい便を排泄するが、それらの排泄を指して「下痢」とは呼ばない。それらの生物は、消化器官の作りが原始的であったり、全排泄(出産や産卵をも含む)を総排泄腔で行うことから、便の柔らかい事が常態なのである。
医療情報に関する注意:ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。免責事項もお読みください。 |
[編集] 原因
通常、便は大腸内にて水分を吸収された上で排出されるが、何らかの原因で水分を多分に残したまま便意を催して排出される事がある。これが下痢である。
日常に於いて最も多く見られる原因としては
- 食べ過ぎによる消化不良
- 歯痛・早食いによる消化不良
- 腐敗したものを食べた事による食あたり
- 毒キノコや貝毒などの有害物質による食中毒
- O157・ノロウイルスなどの細菌やウイルスに経口感染して起こる食中毒
- 腹を冷やした時
- 神経性の消化不良
- 過敏性腸症候群などに代表される体質
- 便意を我慢し過ぎる事による大腸の異常活動
- 海外で日常食べ慣れないものを多量に摂取した
- 医薬品の副作用
等であるが、赤痢やコレラと言った伝染病や、クリプトスポリジウムといった病原性原虫や寄生虫の寄生でも発生する上に、結果的に死に至る場合もあるため、たかが下痢と侮らず、少しでも続くようなら医者に相談した方が賢明である。特に海外旅行の後で症状が出た場合には尚更である。
日本国内での下痢の要因は、通常は病原体によるものではなく、神経性のものが多いようである。日常生活(職場生活・学校生活など)のストレスの多さが主因とされる。
[編集] 症状
下痢は、消化能力の機能低下や、毒物の服用・何等かの感染症によって発生する症状である。
便が非常に柔らかくなる以外の主な症状としては
等が挙げられる。特に大腸での水分吸収が行われない為に生じる脱水症状は危険である。
[編集] 病態
脱水症状は特に細胞外液脱水になり、塩分などのミネラル分などの消耗も起きるので電解質異常を来たす。便は通常アルカリ性なので体液の酸アルカリ平衡が酸性に向かいアシドーシスとなって、体液が酸性に傾きアシデミアになり易い。これは嘔吐の際に、酸性の胃液を吐くため平衡がアルカリ性に向かいアルカローシスになって、体液がアルカリに傾くアルケミアになり易い事と対比すると分かり易い。