リベラル・フェミニズム
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リベラル・フェミニズムというのは、男女平等は、法的手段や社会改革を通して実現可能であり、集団としての男性と闘う必要はないと主張する、フェミニズムの一形態である。 リベラル・フェミニズムの起源はリベラリズムにあるが、今日の基準からすれは、むしろやや保守的もしくはリバタリアン的なフェミニズムであると言える。リベラル・フェミニズムは、(差異派フェミニズムとは異なり) 男性との同一性の平等を支持する傾向がある。
リベラル・フェミニズムは、政治を個人主義的な用語で理解し、大規模な変革を主張するよりも、むしろ、現在の「リベラル」な社会慣行の改革に期待する。この伝統につらなるフェミニストの著者としては、メアリ・ウルストンクラフト、ジョン・スチュアート・ミル、第二波フェミニストのベティ・フリーダンなどがいる。
[編集] リベラル・フェミニストの見解
リベラル・フェミニストの多くは、同性カップルの同性結婚 (シビル・ユニオン) の合法化を支持する傾向がある。つまり、個人同士が合意の上でどのような関係を持つかについては、政府の出る幕じゃないという意見である。
また、妊娠中絶に関する議論については、リベラル・フェミニストは、プロチョイスの立場をとる傾向がある。この立場をとる一般的な根拠は、個人は自分の体に対する支配権を持つはずなので、自分の体についての医学的な判断を行う権利もあるはずだということである。
また、このような自己所有権によるアプローチから、リベラル・フェミニストは、大麻やラップ・ダンスの合法化・非犯罪化を支持する傾向があり、この立場は、ラディカル・フェミニストや宗教右派によってしばしば批判の的になる。リベラル・フェミニストは、売春の犯罪化 (非合法化) を、女性の私的なビジネスの問題に対する家父長制的な支配に根ざす立法措置であり、ゆえに抑圧的であると見る傾向がある。
[編集] 男女不平等の起源
リベラル・フェミニストは、以下のようなものを、男女不平等の主な起源と考える傾向がある。
- ジェンダー・ステレオタイプや女性蔑視
- 女の仕事と男の仕事の分業
- 女性の仕事に対する低賃金
- 高い地位に就く機会が限られている (ガラスの天井を参照)
- 外で働く母親のための手頃な保育施設の欠如
- 妊娠中絶に関する制限
- 女性起業家に対する支援の欠如
[編集] 引用
アメリカのリベラル・フェミニズムの目標は、決して批准されることのなかった、米国憲法に対する男女平等憲法修正条項に具現化されている。そこにはこうある。 「法の下の権利の平等は、合衆国およびいかなる州によっても、性別だけを理由に否定ないし制限されないものとする。」 – Judith Lorber Gender Inequality: Feminist Theories and Politics, Second Edition