ラジエター
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ラジエター(Radiator)とは、水冷式熱交換器の一種。主に著しく熱を発生する装置(エンジンなど)の放熱用に使用される。
ラジエータ、ラジエーターとも読書きする。なお、「ジ」を「ヂ」と記述することもある(例:ラヂエター)。
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[編集] 自動車・バイクでのラジエター
水冷式エンジンを搭載する車種においては、エンジンで発生する過剰な熱を発散するための装置であり、アルミニウム(古くは鉄)の細管を多数並べた構造をしている。細管内部に冷却水を満たし、同じく冷却水を満たしたエンジンのウォータージャケットと接続して冷却水を循環することにより、エンジンの冷却を行う。
冷却水は加圧により100℃では沸騰しないようになっていて、より効率的にエンジンの冷却を行う。外気温が0℃を下回る環境では冷却水が凍結-膨張することでラジエターを破壊することがある。この対策として、冷却水にロングライフクーラント(LLC)や不凍液などを添加し、凍結を防止する。
[編集] チューニングカーとラジエター
チューニングに従いエンジンの出力が上がると、どうしても発熱量が高くなるために高性能のラジエターが必要になる。しかし取り付けサイズは車のレイアウトによって固定されてしまうため、厚みを増やし、冷却水の容量を上げる方向で強化していく事が多い。
そして次に考えられるのは材質の変更である。よく使われる材質は銅とアルミニウムの2種である。それぞれ一長一短があり
- 銅
- 冷却力弱、自己放熱性強、重量大
- アルミニウム
- 冷却力強、自己放熱性弱、重量小
となっている。
発熱量が多くなる、また動力性能を上げる為に軽量化したいのでアルミニウムラジエターの方が良いとは言えるのだが、ストリート兼用の車では渋滞に遭遇する確率も高くなる。そうなると自己放熱性の低いアルミニウムラジエターでは冷却風の導入が止まると同時に一気に水温が上昇してしまう。しかし銅ラジエターではそのような状況に陥ってもある程度は対応が出来る。そのため多くのチューナーはストリート仕様なら銅、サーキット専用車両ならアルミニウムを推奨している。
[編集] 建物でのラジエーター
建物においては、ラジエーターは暖房装置の一種であり、熱源機から供給される蒸気または温水によって温められる。ラジエーターは熱の大半を輻射および対流によって放熱する。日本ではガス会社などが販売しているもののあまり普及していない半面、欧米の集合住宅・ホテルなどでは一般的な暖房装置である。
[編集] 従来型ラジエーター
従来型温水ラジエーターは、くぼんだ金属製の密封容器からなり、通常平らな形をしている。温水は一方の端から供給され、対流または建物内の他の場所に設置されたポンプからの圧力により、ラジエーターの最上部まで上る。
熱の放出に伴い温水は冷却され、ラジエーターの最下部まで沈み、他方の端のパイプから排出される。パイプは周囲の空気と接触するために大きな表面積を有するか、またはフィンが装着されている。このためラジエーター周辺の空気は暖められ、対流により室内の空気が循環するので、室内は暖められる。
ラジエーターといえば写真にあるような鋳鉄製のものという固定観念も存在する。日本でも、戦前の洋風建築にはこのようなラジエーターを設置したものが数多く存在する(例: 東京都庭園美術館 - 旧朝香宮邸)。しかし最近の新築建物では、銅製のパイプとアルミニウム製のフィンからなるラジエーターが設置されることが多い(訳注: 欧米の場合)。
窓からの冷気を効果的に遮断するため、ラジエーターはしばしば窓の直下に設置される。ラジエーターには居間・事務室などの居室に設置されるもののほかに、浴室・トイレに設置されるものもある。これらの中には、タオルをかけて乾燥させるための装置としての役割を兼ねるものもある(タオルウォーマー)。
ラジエーターは1855年、Franz SanGalliによって発明された。彼はセントラルヒーティングシステムを初めて生産し、ドイツおよび米国でこの発明の特許を取得した。
[編集] 蒸気式ラジエーター
蒸気には、ポンプがなくても自らの圧力でパイプ内を流れるという特徴がある。このため、蒸気は電動機やポンプより前から利用されていた。蒸気は温水に比べ、摩天楼のように大きな高層の建物では供給するのがはるかに容易である。しかし、蒸気式のシステムは高温を利用するため、熱の損失が大きくなり、本質的に効率が低い。
蒸気式のパイプおよびラジエーターは、凝縮水が適切に排水されなければ、騒音を発しやすい。これは、建物の沈下(セトリング)によって、凝縮水がパイプ・ラジエーター内に滞留し、もはやゆるやかな傾きによりボイラーに戻らないことにしばしば起因する。
[編集] ファン付きラジエーター
住宅用ラジエーターとしては最近、ファンを加えたラジエーターが用いられるようになった。日本ではファンコンベクターと呼ばれる。サーモスタット式スイッチが温度を感知し、電気式ファンを動作させ、熱交換器に室内の空気が吹き込まれることにより、温水の熱が室内に放熱される。
このタイプの長所は、小型であること、室内を均一に暖房することができることである。短所は、ファンにより騒音が発生すること、電気の供給が必要なことである。
[編集] 床暖房
欧米においても、輻射暖房のトレンドは床暖房に向かっている。床暖房では、温水は各室の全床面の下を循環する。パイプ・配管・配線は床下に埋め込まれ、室内はおだやかに加熱される。放熱面積が広いため、床は希望の室温よりわずか数度上に暖められれば足りる。結果として、対流はほとんど発生しない。このシステムは高い水準の快適性を達成できるとの評判があるが、既存の建物に後付けすることは難しい。床仕上げ材はタイルのように熱伝導性のよいものを用いることが望まれる。
en:hypocaustは、類似の原理を用いた古代ローマの暖房システムである。
[編集] パソコンでのラジエター
パーソナルコンピュータにおいては、CPUの冷却に水冷式を採用するものがあり、この場合に熱交換用のラジエターを装備する。
CPUには従来の空冷式に用いられてきたヒートシンクの代わりにウォーターブロックを装着、ラジエターはパソコン背面などの放熱用通風孔が設けられている個所に設置、これらとポンプをそれぞれホースで繋ぎ、冷却水を循環させることによってCPUを冷やす。
[編集] 関連項目
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