モンタナ級戦艦
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モンタナ級戦艦 | |
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艦級概観 | |
艦種: | 戦艦 |
艦名: | モンタナ州に因む |
前級: | アイオワ級戦艦 |
次級: | なし |
同型艦: | モンタナ (BB-67) オハイオ (BB-68) メイン (BB-69) ニューハンプシャー (BB-70) ルイジアナ (BB-71) |
性能諸元 (モンタナ) | |
排水量: | 基準:65,000 トン 満載:70,500 トン |
全長: | 921 ft 5 in (280.9 m) |
全幅: | 121 ft 0 in (36.9 m) |
喫水: | 36 ft 1 in (11.0 m) |
最大速: | 28 ノット (52 km/h) |
乗員: | 2,150名 |
機関: | 蒸気タービン 4軸 4 x 43,000 hp (128 MW) |
装甲 | 装甲帯: up to 16 in バルクヘッド: up to 18 in バーベット: up to 18 in 砲塔: up to 18 in 甲板: up to 6 in |
モンタナ級(Montana Class Battleship)はアメリカ海軍の戦艦の艦級。1940年7月19日に建造が承認された。アイオワ級の拡大改良型で、完成すれば日本海軍の大和型に匹敵する戦艦であったが、戦局の推移、艦船運用思想の変化から1943年7月21日に建造が取りやめとなった。
モンタナ級はアメリカ海軍が設計した最良の戦艦であるとされるが、実際に就役したのはアイオワ級が最後であった。
目次 |
[編集] 歴史
アメリカ海軍は1940年の「二大洋海軍 Two Ocean Navy」建艦計画の下、モンタナ級戦艦5隻の建造を承認した。建造予算は1941年に承認される。この5隻はBB-67からBB-71として承認される予定であった。5隻は三つの造船所で建造される予定であった。
- モンタナ (USS Montana, BB-67) フィラデルフィア海軍工廠
- オハイオ (USS Ohio, BB-68) フィラデルフィア海軍工廠
- メイン (USS Maine, BB-69) ニューヨーク海軍工廠
- ニューハンプシャー (USS New Hampshire, BB-70) ニューヨーク海軍工廠
- ルイジアナ (USS Louisiana, BB-71) ノーフォーク海軍工廠
モンタナ級が完成することでアメリカ海軍は17隻の戦艦を保有することとなり、これは他国に対しての大きな利点となった。 また、日本海軍の大和型戦艦に対抗しうる艦となるはずであった。しかしながら、戦局は航空母艦、揚陸艦、対潜水艦用艦艇を緊急に必要とするようになり、1942年5月にモンタナの建造は中断された。その後戦艦の必要性は急速に弱まり、1943年7月に建造はキャンセルされることとなった。
モンタナの建造がキャンセルされたことで、モンタナ州はアメリカ合衆国の48州の中で主力艦に命名がなされなかった唯一の州となった。
[編集] 設計
基準排水量60,500トン、満載排水量7万トン超の予定であり、就役した場合フォレスタル級航空母艦が就役するまで最大の艦となるはずであった。主武装は50口径40.64cm(16インチ)砲12門(3連装砲塔4基)で、水線下の装甲も増強された。アイオワ級は自らが搭載する砲に対抗できる装甲を持たなかったが、モンタナ級は搭載砲に対抗できる装甲を持つ数少ない戦艦であり、重量増加のため最高速はアイオワ級よりも低下した。
本級の全幅は37mを超え、パナマ運河の通行はできなかったが、本級建造の認可に合わせてパナマ運河に新閘門が建設される予定であった。新閘門はモンタナ級の通過を可能とし、太平洋と大西洋双方で運用が可能となるはずであったが、運河の拡張は戦後キャンセルされた。
モンタナは完成しなかったものの、その船体設計は空母ミッドウェイの設計に役立つこととなった。