ミスリル
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ミスリル(mithril)は、J・R・R・トールキンの作品世界中つ国に登場する、架空の金属。 銀の輝きと鋼をしのぐ強さを持ち、とても貴重なものとされる。 『ホビットの冒険』でトーリン・オーケンシールドからビルボ・バギンズに贈られた、”白銀色のはがね”製のくさりかたびらは、実はミスリル製であった。 初期の英語版の翻訳である、日本語版『ホビットの冒険』にはこのような記載はないが、後の英語版ではミスリル製であることが付記されている。
『指輪物語』では、”ミスリルの産地はモリアのみ”、としているが、『終わらざりし物語』では、ヌーメノールでも産したとされる。
ミスリルの名は二つのシンダール語の単語、「灰色の」を意味するミス(mith)と、「輝き」を意味するリル(ril)からなる。 クウェンヤ名はミスタリレ。 またまことの銀、モリア銀とも呼ばれる。 ドワーフもかれらだけの秘密の名前をミスリルにつけていた。
[編集] 概要
『指輪物語』の影響を受け、後に出てきたファンタジー小説やRPGなどでも頻繁に使われている。例えば、人気コンピュータRPGのファイナルファンタジーシリーズでは、剣や鎧、籠手、ピアス、果てはベルトなどの素材としてミスリルが多用されている。
ミスリルの元ネタになったと思われる金属には諸説ある。
- アルミニウム:電気精錬が不可能な時代にアルミニウムを精錬する事は奇跡と呼ばれるに相応しく、精錬されたアルミニウムは軽く、錆びる事も無かったため、中世の錬金術師の間で「魔法の銀」と呼ばれる。しかし、アルミニウムの硬度は2.75で、鉄の硬度4に劣る。
- プラチナ:古くは古代エジプト第18王朝時代にファラオの装身具として僅かながら利用されていたらしく、錬金術の起源とも言われる。古代エジプトでの稀少な扱いがミスリルの稀少性を思わせる上、名称がスペイン語の platina del Pinto(ピント川の小さな銀<銀の指小語>)に由来するため、「まことの銀」とは言えないまでも銀との関わりを思わせる。しかし、プラチナの硬度は3.5であり、鉄の硬度4に劣る。
- チタン:鉄以上の強度を持ち、大変強い物質である一方、量は鋼鉄の45%と非常に軽い。アルミニウムと比較した場合、アルミニウムに比べ60%程度質量は大きいが、約2倍の強度を持つ。色も銀灰色で「灰色の輝き」の名に違和感がない。
- ゲルマニウム:「硬度は鉄より勝る」だけなら数多くの金属があるが、ゲルマニウムはチタンと同じ硬度6で鉄よりも硬度が高い上、鉄より軽い(ただしチタンよりは重い)。また、アージロード鉱という銀鉱石から発見されたため、「まことの銀」と呼べないこともない。
架空の金属であるため結論は出ないが、このような多くの金属の特性を含めて考案されたと考えられる。何れにせよミスリルは貴重で有用な性質を備えている金属として、今後も多くの物語に登場するであろう。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
中つ国の世界ではモリアのみでしか採掘ができない為、モリア銀とも呼ばれ貴重な代物でありドワーフ達が採掘していたが、モリア鉱を深く掘りすぎたために第三紀の1980年に地下に潜んでいたバルログによりモリアの王国は壊滅し、ミスリルの採掘が出来なくなってしまった。これをドゥリンの禍と言う。そのため『指輪物語』の時代(第三紀末)では、非常に貴重で高価な代物になってしまっている。
『指輪物語』では、ビルボ・バギンズがフロド・バギンズに譲り渡した「ミスリルの胴着」などが出てくる。これは『ホビットの冒険』でスマウグから得た宝の一部である。また、ガラドリエルの所有する三つの指輪の一つネンヤもミスリルで作られている。
この「ミスリル」はJ・R・R・トールキンの中つ国に関連した書きかけ項目です。この記事を加筆・訂正などして下さる協力者を求めています。 |