マックジョブ
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マックジョブ(まっくじょぶ、McJob)とは、安い給料でマニュアルに沿うだけの単調で将来性のない仕事の総称。一般に、ファーストフード店などの創意工夫を必要としない機械的な動作を繰り返す業務を指す。「マック」の由来は、ハンバーガーショップのマクドナルドである。
『オックスフォード英語辞典』によれば、1986年8月のワシントン・ポストの見出しが初出である。これが一般化したのは、ダグラス・クープランドの小説『ジェネレーションX 加速された文化のための物語たち』である。
この言葉はアメリカなどにおいて中産階級がかつて就いていた職が削減されていることを強調するために使われている。オートメーションの導入やリストラによる生産性の向上の結果、あるいは工場労働・コールセンター業務・会計・総務・コンピュータプログラミングなどを第三世界の国々へ移転させた結果、かつてブルーカラーやホワイトカラーとして働いていた人々が職を失った。こうした人々は長年特別な教育や訓練を受け、経験を積んできただけに、新しい分野で一からやり直したがらない。また企業は新卒の若者を新しく採用する傾向があるため、年配の失業者にはスーパーのレジ打ちやマクドナルドの店員、パート労働といった「マックジョブ」以外の選択肢がないのである。また地域・国全体に求職がない場合、高い教育を受けた若者も教育を満足に受けられなかった若者も「マックジョブ」をするしかない場合もある。
マクドナルド自身はこの用語の使用に反発しており、2003年6月の改訂でこの語句を掲載し、なおかつ「安い給料で、将来性のない仕事」と定義づけた『Merriam-Webster's Collegiate Dictionary』に対し「レストラン産業で働く1200万人の従業員を侮辱するもの」として削除を要請したが、却下されている。一方、すでにマクドナルド内部のジョブ・トレーニングの名称として「McJOBS」という単語が1984年5月に商標登録されている。