マシュー・カーター
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マシュー・カーター(Matthew Carter、1937年10月1日 - )は、イギリスの書体デザイナー。ロンドン出身。
[編集] 経歴
字形設計に40年以上のキャリアを持つマシュー・カーターは、オックスフォード大学出版部の歴史家ハリー・カーターの息子として、マシューはタイポグラフィ(特に古典的なローマの字形)について重要な洞察を得ることができた。マシューの書体の多くは、16世紀のデザインを再現したものである。
19歳のとき、オランダで1年間、Jan Van Krimpen の助手 P.H.Raedisch に師事する。Raedisch は、Enschede type foundry でカーターにパンチカット術を教えた。ロンドンに戻ると、ライノタイプ・ライブラリのために多くの書体を設計した。ライノタイプ・ライブラリで、カーターはベル・テレフォン・カンパニー(現・AT&T)に書体 Bell Centennial を提供した。この書体は Bell Gothic という書体をベースに、文字が小さくインクのにじみやすい電話帳でも字がにじまないようデザインされている。
1981年、カーターと同僚のマイク・パーカーはビットストリームを設立。アメリカのテレビ番組内で使用されている書体の約70%、アメリカの雑誌に使用されている書体の約40%がビットストリームのものであるといわれている[1]。
カーターは、書体の可読性を改善することに尽力し、アップルコンピュータとマイクロソフトに数多くの書体を提供した。中でも Geogia と Verdana は、コンピュータスクリーン上での可読性向上に特化されたフォントである。また、カーターはタイム、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、ボストン・グローブ、WIRED、ニューズウィークなどの雑誌出版社にも書体を提供した。カーターは、タイポグラフィへの貢献で多くの賞を受賞している。
1991年には、シェリー・コーンと共に Carter & Cone type foundry を設立している。コーンはハリー・カーターの息子で、書体デザイナーでもある。
1997年に、カーターはタイプディレクタークラブからTDCメダルを授与された。
マシュー・カーター製作の書体に、Bell Centennial、Cascade Script、Bitstream Charter、ITC Galliard、Georgia、Olympian、Mantinia、Miller、Shelley Script、Snell Roundhand、Skia、Sophia、Tahoma、Verdana、メイリオがある。
製作に携わった書体に、Auriol、Big Caslon、New Century Schoolbook、ITC Souvenir、Cochin、Gando、Helvetica がある。