マグノックス炉
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マグノックス炉とは、核分裂により生じた熱エネルギーを、高温の炭酸ガスとして取り出す、英国が開発した原子炉である。マグノックス炉の由来は、当時開発された超高温に耐えうるマグネシウムの新合金、「マグノックス」を使用したことから来ている。マグノックスが最初に使用された原子炉は、イングランド北西部、カンブリア州のコールダー・ホール(Calder Hall)で1956年10月17日に運転を開始した世界最初の商用原子炉である。米国では低濃縮ウラン燃料を使用する軽水炉が主流であったが、英国にはウラン濃縮の技術が無かった為、天然ウランを燃料として使用できる、ガス冷却炉が開発された。ガスの冷却材は、熱容量および熱伝導率が低いため、ガス圧を上げることで、必要な熱出力を確保していた。しかし、軽水炉に比べて、熱出力密度が小さい為に、原子炉がどうしても大型になってしまう問題もあった。
その後、マグノックス炉を原型に、多くのガス冷却型発電原子炉が実用化され、日本初の原子力発電所、東海発電所にも導入された。 マグノックス炉は、余剰反応度が元々小さい為、燃料を効率よく燃焼させることが難しい。なので、頻繁に燃料棒を交換することで安定した運転を行っている。例えば東海発電所では、大きな燃料交換機を使用し、一日に20本から30本の燃料棒を交換していた。