ポケモンカードGB
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『ポケモンカードGB』(-ジービー)とはゲームボーイカラー・ゲームボーイ用のゲームソフトで、トレーディングカードゲームを再現したものである。1作目の『ポケモンカードGB』は任天堂より1998年12月18日に発売され、『ポケモンカードGB2 GR団参上!』(-ツー・グレートロケットだんさんじょう)はポケモンより2001年3月28日に発売された。本項目では2作をともに扱う。
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[編集] 概要と基本システム
本編の『ポケットモンスター』風のマップ画面で主人公を操作し、ノンプレイヤーキャラクターとの会話やカード対戦を通じてストーリーが進む。ゲームボーイ向けに若干変更されているが、基本的なルールは当時のポケモンカードゲームと同一である。敵との対戦や様々なイベントでカードを集め、プレイヤーのデッキを自由に組むことができる。
通信ケーブルを利用した通信対戦や、赤外線通信を用いたカードの交換も可能である。しかしごく一部の特殊なカード(後述)を除いて、通信プレイを行わなくてもコンプリートすることが可能である。
ポケモンカードの研究所、8人のクラブマスターとメダル、4人のグランドマスターにライバルなど『ポケットモンスター 赤・緑』のパロディのようなストーリー構成も特徴。
[編集] カードポン!
赤外線通信を利用した、本作独自の通信システム。ゲーム起動直後のメニューから手軽に選択できる。通信プレイヤー双方が何らかのカードを手に入れることができる。お互いに損をしない通信というのが特徴。一度通信したプレイヤー同士はしばらく再通信することができなくなるので、多くのプレイヤーと接触するほど有利になる。この方法でしか手に入らない特別なカードも存在する。
この通信と類似のシステムが本編でも「ふしぎなおくりもの」として逆輸入されたが、一日当たりの通信回数が制限されていたり、通信後にゲームを再開して手に入れたアイテムを引き取らないと再通信できなかったりと不便な部分が多く、本シリーズのように機能していたとは言い難い。
『ポケモン不思議のダンジョン』に実装された「みちのダンジョン」というDSすれちがい通信が、比較的この通信に近いシステムと言える。
[編集] 世界観
おそらく本編とは別の世界と思われる、ポケモンカードの好きな人がたくさんいる島を舞台にしている。生身のポケモンそのものは一切登場しない。また、人々の生活感のある描写もなく、カードバトルとそれに関連する施設以外も存在しない、極めて抽象的な世界描写が見られる。
ちなみに本シリーズの登場人物の大部分は、ポケモンカードゲームの関係者や大会での入賞者がモデルとなっている。
[編集] ポケモンカードGB
ポケモンカードGB | |
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ジャンル | トレーディングカードゲーム |
対応機種 | ゲームボーイカラー/ゲームボーイ |
開発元 | ハドソン |
発売元 | 任天堂 |
人数 | 1~2人 |
メディア | 16Mbitロムカセット(赤外線ポート内蔵) |
発売日 | 1998年12月18日発売 |
価格 | 3,675円 |
最初期のシリーズである『第一弾』『ポケモンジャングル』『化石の秘密』のカードを中心に、キャンペーンで配布されたカードとゲームボーイ版オリジナルカードを加え、200種類以上のカードが登場する。
[編集] ストーリー
ポケモンカードが大好きな少年が、ある日「伝説のカード」の噂を耳にする。興味を持った彼は、カードの研究家であるオーヤマ博士の研究所に駆け足で向かうのであった。
[編集] 小ネタ
ポケモンシリーズでは初めて、ゲーム中のメッセージに漢字を使用している(「円」などの記号的なものを除く)。カードGBシリーズ以外で初めて漢字を使ったのは『ポケモンコロシアム』である。
同じく、移動画面においてBダッシュが使用できるようになったのもポケモンシリーズでは初である。本編に採用されるのは『ポケットモンスター ルビー・サファイア』の登場を待たなければならない。
[編集] 売り上げについて
本作は、ポケモンカードゲームに限らず、その他のトレーディングカードゲームファンの間でも高い評価を得た。本来のカードゲーム自体の戦略性はもとより、デッキを自由に組める点や、ノンプレイヤーキャラクターの思考ルーチンが、当時の携帯ゲームとしては珍しかったためである。しかし、プロモーション戦略の問題か、同時期に発売された同一ジャンルのゲームボーイソフト『遊☆戯☆王 デュエルモンスターズ』の1作目に売り上げで大敗を喫してしまう。この『遊☆戯☆王』は主に能力の大小のみで勝敗が決まってしまう大味なルールであり、原作のファンの間ですら低い評価がなされていたので、完成度に反する売り上げを悔しがるプレイヤーも多かったという。
そのため本作の価格は暴落し、ポケモンシリーズとしては異例の早さでワゴンセール行きとなってしまった。100円や200円の捨て値で購入したプレイヤーも多いだろう。しかしこの安売りのおかげで手に取る者が増え、本家ポケモンカードゲームへのプレイヤー流入を促したという側面も否定できない。
[編集] ポケモンカードGB2 GR団参上!
ポケモンカードGB2 GR団参上! | |
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ジャンル | トレーディングカードゲーム |
対応機種 | ゲームボーイカラー |
開発元 | ハドソン |
発売元 | ポケモン |
人数 | 1~2人 |
メディア | ロムカセット |
発売日 | 2001年3月28日発売 |
価格 | 4,095円 |
前作の正統な続編であり、前作のエンディング直後から話が続く。基本的なシステムはほぼ全て踏襲されている。プレイヤーは主人公として前作と同じ男の子の他に、女の子を選ぶこともできるようになった。ただし前作との通信プレイは一切不可能なので注意が必要である。
前作に登場したカードは全て登場している。さらに『ロケット団』『拡張シート』のカードが新たに登場。オリジナルカードももちろん増量されている。しかし『ポケットモンスター 金・銀』発売からしばらく経っているにも関わらず、新登場のポケモンのカード(「ポケモンカードneo」以降)はほとんど登場しない。
ゲームボーイカラー専用となったので、前作のようにカートリッジに赤外線ポートが内蔵されてはいない。
[編集] ストーリー
ついに伝説のカードを手に入れた主人公。しかし彼(彼女)の前に突如として謎の組織「GR団」が現れ、全てのカードを奪い去ってしまった!島じゅうを荒らし回る彼らに対抗する術はあるのか?そして彼らの真の目的とは…?
[編集] 追加要素
前作では原則としてルールの範囲で自由にデッキを組めたが、本作では使用するカードなどに条件をつける敵キャラが登場する。また、カードバトルにも変則的なルールが追加される場合もある。これにより、強力なカードによる力押しが通用しにくくなり、より戦略的な場面が増えた。
移動中ならいつでもデッキの整理やカードリストの確認ができるようになり、よりプレイしやすくなった。
「ゲームセンター」という施設が登場。スロットマシンなどのミニゲームで遊ぶことができる。ゲームでためたポイントを使って新しいカードを手に入れたり、既存のカードを合成する「ブラックボックス」も使用することができる。
[編集] その他
あわやお蔵入りになりかけていたソフトであったが何とか発売に漕ぎ着けた、という噂がある。事実、本作の発売時期は非常に中途半端である。『金・銀』のポケモンがほとんど登場しないのは前述の通りだが、ゲームボーイアドバンスの発売直後であったにも関わらず旧機種のゲームボーイカラー専用である赤外線通信を全面に押し出している事からも、あながち嘘でもないように思える。ただし出荷数自体は前作ほど多くは無かったようで、酷い値崩れは起こしていない。
なお『ポケモンカードneo』に登場した「わるいライチュウ」は、元は本作のためにデザインされたカードである。結果として本作が世に出る方が後になってしまったのであるが。