ホンダ・CRM
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CRM(シーアールエム)とは、本田技研工業が製造販売していたオートバイであり、シリーズ車種として排気量別に数車種が生産されていたが、現在は全て販売終了している。
[編集] CRM250R・CRM250AR
CRM250Rは1989年に発売された。競技用車両のCRをモチーフに造られた車両であり、ホンダの公道走行用デュアルパーパスとしてはエルシノア250に次ぐ250フルサイズ2サイクル単気筒246ccエンジンを搭載し、37馬力の強烈なパワーを誇った。
1991年からエンジンは40馬力となり、その後も毎年または隔年で車体の小改良などやカラーチェンジを繰り返たが、環境規制により2サイクルエンジンの使用が厳しくなっていったため、次第に販売を継続できるかも分からなくなった。
そこでホンダは1997年にフルモデルチェンジを行いCRM250ARを発売した。この車両のエンジンは2サイクルとして初の技術となるAR燃焼技術を搭載しており、2サイクルの構造的弱点である自然着火を制御し、これによりもう一つの弱点である不完全燃焼を減らして、燃焼効率を上げることにより燃費とパワーの向上を図って環境規制をクリアしようとした画期的なエンジンである。
しかしこのAR燃焼をもってしてもクリアできないほど環境規制が厳しくなったため、数年後に販売終了となってしまった。CRM250ARは国内の軽二輪車として最後に製造された2サイクルエンジンの車両となってしまい、そのエンジン技術の高さは今も惜しまれている。
なおAR燃焼技術自体も海外で数車種に使用されたが、ホンダが全車種4ストロークエンジンへの移行を宣言したことから、現在使用されている車種は存在しない。
CRM250ARの最高速は、アスファルト道路で140Km/H、砂利道で120Km/H程度。車体は鉄フレームに倒立サスペンションとプロリンクサスで構成され、非常に扱いやすい。林道走行とツーリングでは市販オフロード車(250cc)トップクラスの性能を堪能することができる。モトクロスコースでは、ジャンプの着地の際に前後サスとも底付きすることが多い。
[編集] CRM50・CRM80
CRM50とCRM80は共に1988年に発売された。250同様に競技用車両のCRをモチーフとして造られた車両であるが、発売はこれらの方が先である。
元がミニモトクロッサーであったことから車体は軽量であり、2サイクルエンジンのパワーの良さもあいまって好評を得た。カラーチェンジや小改良を繰り返し、環境規制により販売継続が困難となるまで10年ほど販売され続けたロングセラー車種である。