ベル研究所
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ベル研究所(ベルけんきゅうじょ、Bell Telephone Laboratory)はもともとBell System社の研究開発部門として設立された研究所である。ベル電話研究所とも。電話交換機から電話線のカバー、トランジスタまであらゆるものの開発を行っている。 ベル研究所の名前は、電話の発明者グラハム=ベルに由来するといわれている。
1925年に当時のAT&T社長ウォルター・グリフォードが独立事業としてベル研究所を設立した。もともとはウェスタン・エレクトリック社の研究部門を引き継いだもので、AT&Tとウェスタン・エレクトリック社がそれぞれ50%ずつ出資した。
ベル研究所が行っていることはおおまかにいって研究、システム工学、開発の3つに分けることができる。
研究としては主に電気通信の基礎技術に関するもので、数学、物理学、人間行動科学、材料科学、コンピュータープログラミング理論などについて行っている。
システム工学に関しては電気通信の分野で非常に複雑なシステムを作り上げている。
開発としては通信網の構築に必要としたものよりも遥かに多くのものをハードウェア、ソフトウェアどちらの分野でも開発した。
[編集] 歴史
- 1933年 - カール・ジャンスキーはベル研究所で長距離通信時における定在波を調査し、ノイズの原因となる電波が銀河系の中心から出ていることを突き止めた。これは電波望遠鏡に通じる発見で、のちに電波天文学の始まりとなったが、通信に関する問題ではないのであまり集中して行うことはなかった。
- 1947年 - トランジスタの発明。これに関わったジョン・バーディーン、 ウィリアム・ショックレー、ウォルター・ブラッテン は1956年にノーベル物理学賞を受賞した。
- 1970年代 - Bell研究所はUNIXおよびC言語の開発を行った。デニス・リッチー、ブライアン・カーニハン、ケン・トンプソンが在籍。
- 1980年代 - ビャーネ・ストロヴストルップがC++を開発。
- 1990年代 - Unix系の次世代OS:Plan 9を開発。
- 2002年 - 超伝導に関する研究において実験データを改竄したとして、ヘンドリック・シェーンを解雇。
現在のベル研究所はニュージャージー州マリーヒルにある。
[編集] 関連項目
- ルーセント・テクノロジー