フランシス・プーランク
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フランシス・ジャン・マルセル・プーランク(Francis Jean Marcel Poulenc [fʁɑ̃sis ʒɑ̃ maʁsɛl pulɛ̃k], 1899年1月7日-1963年1月30日)は、フランスの作曲家。フランス6人組の一人。
彼はパリの裕福な家庭に生まれ、両親は敬虔なカトリック教徒であった。母親からピアノの手ほどきを受け、後にスペインの名ピアニスト、リカルド・ビニェスにピアノを師事し、シャルル・ケクランから作曲を学んだ。ビニェスの紹介によってエリック・サティ、ジョルジュ・オーリックら後のフランス6人組のメンバーと出会い、詩人ジャン・コクトーらのサロンに出入りするようになった。24歳のとき、ロシア・バレエ団を主宰するセルゲイ・ディアギレフの委嘱によってバレエ『牝鹿』を作曲し、翌1924年にロシア・バレエ団によってそれは初演されたが、脚本はコクトー、舞台と衣装はマリー・ローランサン、振付・主演はブロニスラヴァ・ニジンスカによるという極めて豪華なものだった。以来、軽妙洒脱で親しみやすいその作風は大衆に喜んで受け入れられたが、作曲活動だけでなく、バリトン歌手ピエール・ベルナックとによる自作歌曲のピアノ伴奏をはじめとして積極的に演奏活動もし、録音も残されている。
私生活では、両性愛者とされ、恋人の一人にラディゲがいたことが判っている。
[編集] 作品の特徴
軽快で旋律に富むという面が、若き日の大家に見られた作風と共通するところから「モーツァルトの再来」と表現する者もいた。また、音楽の従来のあり方が多様化し旋律が崩壊した後の時代と比較され「メロディーを持つ20世紀最後の作曲家」と呼ばれたこともあった(その後、従来のような旋律の振る舞いを復活させる新しい動きが20世紀内にも起こったため、その表現は実際に正しくはなくなった)。そんな軽やかさや柔和さだけではなく、新古典主義の動きと並んで、バロックや古典派の時代のひとつの魅力である重厚な和音や厳格な振る舞いも、彼の作品の所々に好んで登場するのを見出すことができる。それはまた、カトリック教徒としての彼の一面が顔を覗かせているとも考えられる。それ以外には、当時のストラヴィンスキーが好んだ大胆で鮮やかな複調の響きを彼も特に好んで取り込み、旋律同士や和音同士をその手法によって重ねることが多く見られる。
和声的には、幼い頃から七の和音よりも九の和音や十一の和音を好んだことが知られており、それらがある意味、彼の魅力としての艶やかな色彩、たおやかな雰囲気を長年支えてきたとも言える。また、脈絡のない多様な楽句を楽しみながら連結させることによってただ先へと曲を進めるのも彼の作品にたいへん多く見られる手法であるが、逆に、主題や素材を展開させながら知的に構築することは非常に苦手とされる。曲の構成は、多くは単純明快なものによっており、もしくは即興的な志向の曲はスケッチ的に仕上げられている。
[編集] 作品
管楽器やピアノのための室内楽曲、宗教曲に優れた作品が多い。
- オペラ
- 『声』
- 『カルメル派修道女の会話』
- 『ティレジアスの乳房』
- 管弦楽曲
- バレエ音楽『牝鹿』
- シンフォニエッタ
- 協奏曲
- 室内楽曲
- 器楽曲
- 2台のピアノのためのソナタ
- シテールへの船出(2台のピアノ)
- ピアノ連弾ソナタ
- 合唱曲
- 人間の顔
- スターバト・マーテル
- 悔悛のための4つのモテット(悔悟節のための… という邦題もある)
- クリスマスのための4つのモテット
- グローリア
- アヴェ・ヴェルム・コルプス
- アッシジの聖フランチェスコの四つの小さな祈り
- テネブレの7つの応唱
- 歌曲(多数)
- 朗読とピアノ
- 子象ババールのお話(日本語にも翻訳されているジャン・ド ブリュノフの絵本による音楽物語)
[編集] 著書
- ステファヌ・オーデル編『プーランクは語る――音楽家と詩人たち』千葉文夫訳 筑摩書房、1994年。
- Journal de mes mélodies. Paris: Cicero, 1993.
- Correspondance 1910-1963. éd. Myriam Chimènes, Paris: Fayard, 1994.