フォーマルハウト
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フォーマルハウト(Fomalhaut)は、みなみのうお座にある、視等級1.16等の恒星である。バイエル符号はみなみのうお座α星、フラムスティード名はみなみのうお座24番星。学名はα Piscis Austrini(略称はα PsA)。太陽を除けば、地球から見て17番目(アンタレスが暗くなったときは16番目)に明るい星である。地球からは約25.1光年離れており、比較的近距離の恒星である。
フォーマルハウト(Fomalhaut)という名前は、アラビア語のフム・アル・フート(Fam al-Hut)に由来する。これは、「魚の口」という意味である。その名の通り、フォーマルハウトは、みなみのうお座の口にあたる場所に位置している。英語では、hが発音されず、フォーマロウや、フォーマロウトと読まれることもある。中国では、「北落師門」と呼ばれる。「北落」は「北の垣根」、「師門」は「軍隊の門」の意味である。これは、中国の星座の星座では、夏と秋の星座が「北方」とされたからである。長安の城の北門は、これにちなんで「北落門」と呼ばれた。
秋の宵に北半球で夜空を眺めると、南の空高くに、夏の星座の名残として、夏の大三角を構成するベガ、デネブ、アルタイルの3つの1等星があるものの、南の空低くには、明るい星が少なく、フォーマルハウトだけがポツンと光っているようにも見える。ここから、日本では、フォーマルハウトは、「秋の一つ星」や「南の一つ星」と呼ばれる。日本より緯度が高いヨーロッパ北部では、フォーマルハウトが南の地平線低く見えるため、日本におけるカノープスのように、南国への憧れを誘う星とされている。
紀元前2500年頃から、ペルシアでは、フォーマルハウトは、アンタレス、アルデバラン、レグルスと並んで、ロイヤル・スター(王家の星)の1つとされてきた。
[編集] フォーマルハウトの詳細
フォーマルハウトは、誕生してから2億年しか経っていない、大変若い恒星だと考えられている(太陽は約46億年)。表面温度は8500ケルビンであり、太陽より少し高い。質量は太陽の2.3倍、直径はおよそ1.7倍、明るさは15倍である。絶対等級は1.74等。
フォーマルハウトは巨大なドーナツ状の塵の円盤に囲まれていて、フォーマルハウトから5AUの距離から90AUの距離まで広がっている。これは惑星が形成された後に残ったものではないかと考えられており、太陽系のエッジワース=カイパー・ベルトに相当すると見られる。この円盤は、相当量の赤外線を放射している。
塵の雲の分析から、1998年には、フォーマルハウトbと呼ばれる惑星の存在が推測されている。なお、円盤の中心はフォーマルハウトから20億Km離れているが、これは海王星か木星程度の質量を持つ惑星が楕円軌道で公転しているためと考えられている。
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