ピル
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- ピル(英:pill)は錠剤(タブレット)を意味する俗称。
- 日本では特に「経口避妊薬」を指すことが多い。本項ではこれについて記述する。
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ピルは日本での避妊用女性ホルモン剤を指す俗称。英語の錠剤(タブレット)を俗に pill と呼ばれるところから、ピルと呼ばれるようになっている。経口避妊薬(OC : oral contraceptive)とも呼ばれる。これを女性が服用することにより人工的に妊娠中と同様な内分泌状態を持続させることで 排卵を停止させる。正しく服用した場合の避妊の確率は非常に高い(PI:0.1-5%程度)
避妊以外にも、生理時期の調整や月経困難症(生理に伴う重い症状)の緩和、子宮内膜症の治療などに使われる。
かつては中用量ピルが用いられていたが、副作用のリスクの低減を目的として低用量ピル、超低用量ピルなどが開発され、海外では主流となっている。日本では治療目的の中用量ピルが認可されており、1998年に避妊目的の低用量ピルが認可されたが、超低用量ピルは未認可のため、避妊用としては低用量ピルが主流になっている。
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[編集] 副作用
副作用がありうるので、医師の指導のもとに服用することが望ましい。
ピルの副作用としては、体重の微増、偏頭痛、イライラ、性欲減退、むくみ、嘔吐、膣炎などがあげられる。 このほか稀な例ではあるが、肝機能障害、血栓症、長期服用による発癌性などの可能性が指摘されている。 子宮筋腫、糖尿病を悪化させるとも言われている。 発癌性に関しては、国際がん研究機関によるIARC発がん性リスク一覧で、「経口避妊薬の常用」に関して「Group1ヒトに対する発癌性が認められる」と評価されている。 また、喫煙を伴うと心臓・血管系への副作用が高まるため、ピルを服用するなら喫煙をしないことが望ましい。
[編集] 副効用
副効用は、副作用と同様に個人差が大きく、誰にでも現れるものとは限らない。 しかし、以下の副効用を目的としてピルを処方されることも多い。
一般に多く期待されるのは、生理周期の安定、生理痛の軽減、経血量の減少など、月経に関する副効用である。また、子宮内膜症の予防・病巣進行の停止、子宮体がん、卵巣がんのリスク軽減なども期待できる。
ニキビ治療やバストアップ、ムダ毛が薄くなるなど美容に関する副効用もある。
[編集] モーニングアフターピル
モーニングアフターピルは、「受精卵の着床を妨げる」ために性交後に服用するピルのこと。本来は強姦被害に遭った女性を望まない妊娠から保護する目的で開発された。事後ピルまたは緊急避妊薬とも呼ばれる経口のホルモン剤。現在日本では殆ど中容量ピルが使用されている。 妊娠の危険を伴う性交渉後、72時間以内に1回目の2錠を服用し、その12時間後に残りの2錠を服用する(ヤッペ法)。 妊娠の危険を伴う性交渉後、24時間以内の服用で95%、72時間以内の服用で75%の避妊効果があると言われている。実際には 100時間くらいまで効果が得られるという調査もあるので、必要に迫られた場合は試みる値打ちがあると考えられる。 もちろん、避妊効果が100%でない以上、安易な性行為のカバーとして用いるべきではない。また、自然な状態ではありえない量のホルモンを採るため、体への負担は重く、人によっては吐き気・頭痛など重い副作用がある。
緊急避妊の方法として、モーニングアフターピルの服用の次の方法として、IUD(避妊参照)の挿入という方法もありうる。