ピノコ
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ピノコは、手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』に登場するキャラクターである。声優は主に水谷優子。
単行本第2巻「畸形嚢腫」で、ブラック・ジャックの手術を受けた患者の体内から奇妙な形の脳や内臓が取り出され、その後、ブラック・ジャックの手によって一人の幼女として組み立てられた(すなわち人造人間)。独特の幼児語を話す(ちなみに幼女として組み立てられる前の状態ではテレパシーらしきもので会話していたが、この時は普通の言葉遣いだった)が、特に驚いた時に発する「アッチョンブリケ」は有名。顔は、医学雑誌(アニメでは子供服の広告)に掲載された、公害病患者のロミという少女の顔をモデルにして作られている。顔や胴体部分が合成繊維でできた皮膚を使っているので、海に入るとカナヅチになるが、塩分の濃い海水なら3分間だけ泳げる。アニメでは、スノーボードも乗れる。
名前の由来については、ブラック・ジャックが劇中で「ピノキオが由来」と語っている。詳細は不明だが、「ブラック・ジャックが嚢腫を人型に組み立てる様を、ジェッペット爺さんがピノキオ人形を組み立てる様に見立てた」「嚢腫から人間となった少女を、木人形から人間となったピノキオにたとえた」などの説がある。
ブラック・ジャックとともに生活するただひとりの家族であり、戸籍上の年齢も実質年齢も0歳だが、いままで患者の体内で生きてきたことを理由に自分は18~20歳だと言い張り(原作でやけ酒したことから20歳の可能性が高い)、ブラック・ジャックの「おくたん(奥さん)」を自称しているが、ブラック・ジャック自身は娘のように扱っている。嫉妬深い一面も持っており、ブラックジャックが若い女性と関わることを嫌う。初期は、尖がった面も多く、ブラックジャックをバットで殴って起こしたり、焦げたパンをナイフで脅して無理やり食べさせたり、睡眠薬で眠らされたときはからしを一瓶ごと口に入れて目を覚まさせたりなどとしていた。
一度、ブラック・ジャックは彼女の将来を想って養子に出したが、ブラック・ジャックを慕ってピノコが戻ってきた時、丁度彼は自分自身を手術しており、手術道具を忘れるというミスを犯していたのをピノコが助けた。結局養子の話はなくなり、以後ピノコは主に自宅で手術を行う時はブラック・ジャックの助手として付き添うようになる。医療の現実に苦悩する主人公のそばで明るく振舞い、主人公に生きる事の奇跡を案じさせる名脇役として、読者の人気を勝ち得た。
畸形嚢腫として同居していたもとの患者(本来の双子の姉)とは、その後何度か再会する。だが、世間体を気にする相手に避けられ、ピノコ本人もよほどの事情が無い限り姉と会うことを拒絶している。ただ、ピノコの姉が自殺未遂を図って記憶喪失になり、ブラック・ジャックのもとで治療を受けた際、たがいに相手が実の姉妹であることに気付かなかったために、姉の入院中だけはかえって本当の姉妹らしく振舞うことが出来た(姉は退院直後に記憶を取り戻す)。
得意料理はブラック・ジャックの好物でもあるカレーライス(ブラック・ジャックいわく「いつでもカレー」。テレビスペシャル『~命をめぐる4つの奇跡~』では、目玉焼きと言っていた。)ブラック・ジャックは「いつまで経っても美味くならない」と嘆いていた。作中では魚を捌いたりフライを揚げたりといろいろな料理を作っているシーンもあるのだが、味噌汁にソースを入れる癖が直らなかったりするあたりでそんなふうに言われてしまうのかもしれない。
現在の三頭身の体から、八頭身の美女になるのが夢である。 TVドラマ版(TBSテレビ系)では、双子の設定になっている。
[編集] 言葉
ピノコが話す独特の言葉を記す。
- アッチョンブリケ
- しーうーのあらまんちゅ
- はじめまてち
- ~よのさ、~わのよ
- ちぇんちぇ(原作では「先生」)
- あらまんちゅ