パット・メセニー・グループ
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パット・メセニー・グループ (Pat Metheny Group) は1978年に結成されたジャズ・フュージョン・バンドである。
グループの主要メンバーはギタリストでリーダーのパット・メセニー、キーボード奏者でピアニストのライル・メイズ、1981年に加入したベーシストのスティーヴ・ロドビーからなっている。その他の多くのミュージシャンがメンバーまたはゲストとして参加している。
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[編集] 経歴
創設者であるパット・メセニーは2枚のソロ・アルバムと共に1970年代半ばのジャズ・フュージョン・シーンへ登場した。 1977年発表の『ウォーター・カラーズ』で既にキーボード奏者のライル・メイズと共演している。 続くアルバムはライル・メイズとの共作を含み、アレンジのスタイルも確立され、1978年に自らのグループ名を付けてECMレコードから発表された。グループの2枚目のアルバム『アメリカン・ガレージ』(1980年)はビルボード・ジャズ・チャートからポップ・チャートに幅広くランクされるほどのスマッシュヒットとなった。オープニング・トラックである『(クロス・ザ)ハートランド』の持つ力強さやアップテンポリズムはグループの特徴となっていった。初期の2枚のアルバムにはダン・ゴットリーブ(ドラム)とマーク・イーガン(ベース)が参加している。 グループはアメリカやヨーロッパでの数多くのツアーをこなしながら成長を続けていった。初期のグループはギブソン・ギターでのオクターブ奏法やギター・シンセサイザー、そしてライル・メイズのオーバーハイム・シンセサイザーなどの独特の音を特徴とした。グループは初期から実験的なものからグラスルーツにいたるまで幅広いスタイルに基づきながらオリジナル曲を演奏していた。
1982年から1985年にかけ、グループは『愛のカフェ・オーレ』(1982年)、『トラベルズ(ライヴ)』(1983年)、『ファースト・サークル』(1984年)、『コードネームはファルコン(同名映画サントラ)』と立て続けにリリースをした。 『愛のカフェ・オーレ』ではマーク・イーガンに変わりスティーブ・ロドビーがベーシストとして加入し、ブラジルのパーカッショニストでボーカリストのナナ・ヴァスコンセロスがゲスト参加。『ファースト・サークル』ではアルゼンチンのマルチ・ミュージシャンのペドロ・アズナールとダン・ゴットリーブに替わりポール・ワーティコがドラマーとして加入した。 この時期のパット・メセニー・グループは商業的にも最も人気の高く、ECMレーベルにとっても重要なアーティストとなったが、ECM総裁のマンフレッド・アイヒャーとの考えの違いからライブ録音の『トラベルズ』と『ファースト・サークル』を最後にECMを離れることとなった。
ゲフィン・レコードに籍を移したメセニーはブラジル音楽の影響の強い2連作『スティル・ライフ(トーキング)』(1987年)、『レター・フロム・ホーム』(1989年)をリリース。商業的に大きくヒットする。
1997年にワーナー・ブラザーズ・レコードに移り、『イマージナリー・デイ』をリリース。2002年リリースの『スピーキング・オブ・ナウ』には年間契約の元、リチャード・ボナがベーシスト兼ヴォーカリストとして参加している。2004年にはワーナー・ミュージック・グループの大幅な改編に伴いワーナー・ブラザーズ・レコードはジャズ部門を閉鎖、同グループ傘下のノンサッチ・レコードに移り、2005年に『ザ・ウェイ・アップ』をリリース。CDの構成上は4パートに分かれているが、メセニーは一つの楽曲としてこのアルバムを発表している。尚、日本国内向けの盤では最終パート内に約4分のボーナス部分が含まれており、総演奏時間も72分を超えている。
[編集] 現在のメンバー
- パット・メセニー - (ギター、ギター・シンセ)
- ライル・メイズ - Lyle Mays (ピアノ、シンセサイザー)
- スティーヴ・ロドビー - Steve Rodby (ベース)
- アントニオ・サンチェス - Antonio Sanchez (ドラム、パーカッション)
- クン・ヴー - Cuong Vu (トランペット、ボーカル、パーカッション)
- グレゴリー・マレット - Grégoire Maret (ハーモニカ、ボーカル、パーカッション)
- ナンド・ローリア - Nando Lauria (ギター、ボーカル、パーカッション)
[編集] 過去の参加メンバー(PMG名義のアルバム参加メンバー)
- マーク・イーガン - Mark Egan (ベース)
- ダン・ゴットリーブ - Dan Gottlieb (ドラム)
- ナナ・ヴァスコンセロス - Nana Vasconcelos (パーカッション、ドラム、ボーカル)
- ペドロ・アズナール - Pedro Aznar (ボーカル、パーカッション、ギター)
- ポール・ワーティコ - Paul Wertico (ドラム)
- アーマンド・マーサル - Armando Marcal (パーカッション、ボーカル)
- デービッド・ブレイマイヤーズ - David Blamires (ボーカル)
- マーク・レッドフォード - Mark Ledford (ボーカル)
- ルイス・コンテ - Luis Conte (パーカッション)
- リチャード・ボナ - Richard Bona (パーカッション、ボーカル)
[編集] アルバム
- 想い出のサン・ロレンツオ - Pat Metheny Group (1978年)
- アメリカン・ガレージ - American Garage (1980年)
- 愛のカフェ・オーレ - Offramp (1982年)
- トラヴェルズ - Travels (1983年)
- ファースト・サークル - First Circle (1984年)
- コードネームはファルコン(サントラ) - The Falcon And The Snowman (movie soundtrack) (1985年)
- スティル・ライフ - Still Life (Talking) (1987年)
- レター・フロム・ホーム - Letter From Home (1989年)
- ロード・トゥ・ユー - The Road To You (1993年)
- ウィ・リブ・ヒア - We Live Here (1995年)
- カルテット - Quartet (1996年)
- イマジナリーデイ - Imaginary Day (1997年)
- スピーキング・オブ・ナウ - Speaking Of Now (2002年)
- ザ・ウェイ・アップ - The Way Up (2005年)
[編集] 功績
[編集] グラミー賞
タイトル | 年度 | 部門 | |
---|---|---|---|
"Travels" | 1984 | Best Jazz Fusion Performance | |
"First Circle" | 1985 | Best Jazz Fusion Performance | |
"Still Life (Talking)" | 1988 | Best Jazz Fusion Performance | |
"Letter From Home" | 1990 | Best Jazz Fusion Performance | |
"The Road to You" | 1994 | Best Contemporary Jazz Album | |
"We Live Here" | 1996 | Best Contemporary Jazz Album | |
"Imaginary Day" | 1999 | Best Contemporary Jazz Album | |
""The Roots of Coincidence"" | 1999 | Best Rock Instrumental Performance | |
"Speaking of Now" | 2003 | Best Contemporary Jazz Album | |
"The Way Up" | 2006 | Best Contemporary Jazz Album |