ドーン (探査機)
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ドーン(Dawn)とは、NASAが計画している小惑星ケレスおよびベスタを目標とする無人惑星探査機である。ディスカバリー計画の一環で、探査機の組みたては最終段階に入っている。2006年3月2日に一旦中止が発表されたが、その後すぐに復活した。
[編集] 計画
ドーン計画の目的は、太陽系初期の状態を残していると考えられる、2つの大きな原始的天体を調べることで、太陽系誕生の謎に迫ることである。ケレスとベスタは太陽系の別々の場所で誕生したと考えられており、それによる対照的な違いがいくつも見られる。ケレスはその形成段階において地下水による「冷たく湿った」状態を経験しているとされている。一方ベスタはマントルや核といった内部構造を持ち、また表面にある火山活動の形跡などから「熱く乾いた」状態を経験していると考えられている。
計画では探査機はデルタIIロケットで打ち上げられ、ディープ・スペース1で用いられたキセノンイオン・スラスタ3基を用いて長期間航行する予定である。当初のスケジュールは以下の通りであった。
ただし延長ミッションとして他の小惑星を訪れることも考えられていた。
計画はカリフォルニア大学ロサンゼルス校の宇宙科学者クリストファー・T・ラッセルを中心に進められた。探査機はオービタル・サイエンス社によって90%まで組みたてられており、NASAのJPLはイオンエンジンと飛行システム開発のマネジメントを提供する予定である。ドイツ航空宇宙局はフレーミングカメラを、イタリア宇宙局はマッピング分光計を、米エネルギー省のロスアラモス国立研究所はガンマ線分光計を提供している。計画の中止が決まった時点で以上のことが完了し、探査機は会社で保管されていた。
[編集] 計画中止、そして復活
計画中止が決定する以前より、宇宙予算の削減と人員不足から探査機の打ち上げは延期が決まっていた。2003年12月に計画は一度中止されていたが、2004年2月には復活した。2005年11月に計画は「スタンドダウン(身を引く)」状態となった。
2006年1月、NASAはドーン計画の状態に関して何ら決定を下していなかったが、メディアは「スタンドダウン」状態とは「無期限延期」のことではないかと報道した。2006年3月2日、計画の中止が発表された。しかし、観測装置を提供していたヨーロッパの学者たちやJPLが抗議し、同27日に復活が決定された。
再開後の計画では、2007年夏頃に打ち上げられ、2011年にケレスに接近する予定である。