デスクリムゾン
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『デスクリムゾン』は1996年8月9日、エコールソフトウェアからセガサターンで発売されたガンシューティングゲームで、クリムゾンは作中で主人公が使用する「伝説の銃」の名前でもある。発売時のメーカー希望小売価格は5,800円。数々の伝説を残すクソゲーとして今なお語り草となっている。別名(暗黒帝王)デス様、または最下位帝王。
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[編集] 概要
サターン専門誌の読者ランキングの最下位に華々しく登場し、独走態勢を築いた(後述)後、セガのファンを中心に「伝説」と化し、雑誌やネットなど様々な場所で取り上げられるようになった。余りのクソゲーぶりにコレクター達が買い漁った結果、ソフトに定価以上の価格とプレミアが付けられた。また、開発会社のエコールソフトウェア(以下エコール)には、平日にもかかわらず「聖地巡礼」と称し、このゲームのユーザーが多数訪れたこともあった。エコールはとても迷惑がり、「来ないでください」と言ったという噂がある。このことからも、単なるクソゲーというだけでは片付けられない何かがこのゲームにはあったということがわかる。
一方、次第にエコールも、当初はCADの情報が中心だった自社のWebで、同ソフトや自社製ゲームソフトを前面に押し出すようになり、さらに掲示板まで設けてユーザーと積極的に対話するなど、開き直るようになった。セガサターン後継機のドリームキャストで続編の製作も決定し、実際に製作された。
さすがに発売後しばらくは再販されなかったが、発売から5年後の2001年、セガサターン用ソフトの生産ラインが閉鎖するのをきっかけに、エコールの真鍋社長が4月14日から新幹線で東京~博多を回って手渡しする「デストレイン」というイベントとして再販が実現し、4日間かけて無事に完売して「伝説に終止符を打った」。現在でも入手は極めて困難な状態となっている。
[編集] 物語
それは10年前の事であった。コンバット越前、ダニー、グレッグはマルマラ軍の傭兵として敗走中、偶然見つけた遺跡にとにかく入ってみると、3つの扉があった。せっかくだから赤の扉に入った越前はクリムゾンという名の銃を手に入れた。10年後、ヨーロッパを覆う伝染病にかつての記憶と通じるものを感じ、捜索を始めた越前。しかし今、デスビスノスの放ったモンスターが、越前に襲いかかる。「クリムゾンを取り返せ・・・クリムゾンは奴が持っている・・・」
[編集] 伝説の数々
- ゲーム雑誌『セガサターンマガジン』の1~10点・10段階の読者評価において初登場で平均点1.0909点という快挙(計算上は11人が投票、うち1人のみ2点・他全員が1点でこの評点)。この記録は『スタンバイSay You!』の1.0769点(こちらは恐らく13人投票で1人のみ2点)という記録に破られるまで不滅の記録だった。
- ゲーム雑誌『ファミ通』の審査員からは「ゲームに点数をつけるという行為に限界を感じた一本」、同じく『セガサターンマガジン』の審査員からは「これマジで出すんですか?」とまで言わしめた。
- 主人公は越前康介。コードネームはコンバット越前。コードネームなのに本名を使っているのが非常に漢らしい。ちなみにゲーム時にはすでに傭兵を退役して医者になっている。
- コンバット越前は設定上29歳。しかし29歳とは思えない甲高い声で度肝を抜かれる。
- オプションにはステレオとモノラルの項目しか無い。クレジット数を増やしたり難易度を下げたりといった軟弱なものは存在しない。
- ゲーム開始前にガンコントローラーの照準を合わせる場面があるが、1発しか撃てないという潔さなので合ってるのかどうか確認不能。
- それではというので、銃を画面にくっつけて照準を合わせても、照準があう事は無い。また、ずれ方がどう考えても一定ではなく変な癖があるため、その癖を読みながら照準の調整をするのがこのゲームの醍醐味である。
- パッドでも操作できる。但し、照準の移動速度が非常に速く、的に合わせるには慣れが必要。
- マウスでも一応操作できる。但し、リロード用のボタンがマウスには無い。
- 敵の攻撃を食らうと「くっそぉ~!」「このヤロー!」「やりやがったな!」などの台詞を甲高い声で吐く。その直後に一般のガンシューティングではあるべき無敵時間が皆無なため、体力が余ってても猛攻撃で即死する事がある。
- リロードを促す表示は弾を打ち切った時点ではなく、弾を打ち切った状態でトリガーを引いた時に表示される。細かい点だが難儀。
- 突如現れる白い人間(ネット上では非公式名称で佐藤と言う名前がつけられている。理由は不明)を撃つと「オーノー!」と言って死亡。味方らしいのだがマニュアル未掲載。たまにスライディングしてくる。
- ムササビのような生物は味方なので撃ってはいけない。でもやはりマニュアル未掲載。これも撃たれると「オーノー!」と言う。
- プレイ画面は越前視点で展開されるのだが、明らかに人間離れした速度や、明らかに空中を飛んでいるとしか思えない視点の動き方をする場面がある。
- 起動時に表示されるメーカーロゴは泣く子ももっと泣くような気味の悪い音楽と、デスマスクと言われる不気味な仮面が現れるが、もちろん飛ばせない。
- ゲームクリア後に現れるSTUFFロール。STAFFではなくSTUFFである。この単語は素質や原料の意味の他に、ゴミ、クズ、がらくたといった意味があり、ファンにはもっぱらそのように解釈されている。
- ポケモンショック以前の作品ではあるが、光刺激てんかんになりそうなほど画面がフラッシュする。もっとも、フラッシュの量が尋常ではないため、これを敢えて暗所で凝視する(凝視できる)プレイヤーは少ないかもしれない。
[編集] オープニングムービー
- 登場早々、変に高い声で鳴く銀色の生物が実はラスボス、デスビスノス。頭が薄っぺらい。
- ナレーションの低い声はエコールの社長という噂があった。
- タイプライターの印字音をバックに越前のプロフィールが画面に数文字ずつ表示されるのだが、音と文字表示のタイミングが全然合っていない。
- ワイヤーフレームで形成されていくコンバット越前の勇姿。左右の足の長さが違う。
- コンバット越前の登場後、爆発音と共に「Death Crimson」と書かれた白い棒が越前の股間辺りから飛び出す。
- 雑木林の中を走り回っているセピア色の映像は何故か実写。ロケ地は和歌山県和歌山市にある友ヶ島である。この島に現存する戦時中の砲台跡が舞台となっている。
- 「上から来るぞ、気をつけろぉ!」と忠告しているのに上に向かってゆくコンバット越前。
- 唐突に地下への階段を発見し、「なんだぁこの階段はぁ?」「とにかく入ってみようぜぇ」と、入ってから言う。
- 突然BGMがへっぽこなものに変わる。
- 「せっかくだから、俺はこの赤の扉を選ぶぜ!」
- 選んだ扉は赤くない(扉の上に赤の宝玉と思しき物が見えるが、凝視しないとわかりにくい)。また、何が「せっかくだから」なのか何の説明もない。ちなみにこの「せっかくだから」はファンの間で合言葉となっているほど本作を代表する名(迷)台詞となっている。
- ポリゴンで描かれた銃(クリムゾン)が表示され、ナレーションでしめくくられて終わる。
- そもそも、10年前に傭兵だったコンバット越前の身に起こった出来事と、ムービーを交えて彼がクリムゾンを手に入れるまでの説明として流れている筈のこのオープニング自体が断片的過ぎて全く説明になっていない。
- 補足
オープニングムービーに関してはさまざまな憶測が流れたが、ナレーションは社長の声という噂は間違いである。この会社が以前に出した『ぱっぱらぱおーん』では確かに社長が声の出演をしているが、デスクリムゾンのオープニングは一人のプロの声優によってすべてのナレーションが行われている(よく聴いてみれば、同じ人間の声だというのがわかる)。
ちなみに担当した声優はせいじろう。エコールはこの有名な間違いを否定していないが、「どんな形にせよ話題になるのはよし」とする製作方針によるものと思われる。
[編集] シリーズ作品
本作は下記のシリーズ作品が制作されている。本作の市場評価から考えると、このことも「伝説」の延長と言える。