デイル・ヤシーン事件
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デイル・ヤシーン事件（דיר יאסין, مذبحة دير ياسين）は、1948年4月9日、第一次中東戦争直前のイギリス委任統治領パレスチナにおいて、エルサレム近郊のデイル・ヤシーン村（ダイル・ヤーシーン、دير ياسين Dayr Yāsīn。デイル・ヤーシンとも書かれる）で起こった住民の虐殺事件。
この事件の当時、イギリス委任統治領であったパレスチナでは、イスラエル独立前から、ユダヤ人とアラブ人間の武装勢力によるテロが激化し、実質上の戦争状態に入っていた。
1948年4月、エルサレムのユダヤ人は、アブドゥル・カーデル率いる義勇兵部隊「アラブ救世軍」に包囲されていた。そのため、ユダヤ人の武装勢力側はテルアビブよりエルサレムへ補給物資を運ぶ作戦を行っていた。その際エルサレム西部のデイル・ヤシーン村を、ユダヤ人テロ組織イルグン、レヒをベースとする部隊が、ユダヤ人の主力軍事組織であるハガナー の了承の基に攻撃。戦闘に勝利したユダヤ人テロ組織が、老人や女子供も含めた村民を虐殺した。犠牲となった住民の総数は、事件後の初期に出された254人とした死亡者数の推定が広く流布されていたが、最近の研究では、犠牲者数は107人から120人の間であると推定されている。
ユダヤ側は直ちに謝罪声明を出し、ベングリオンはトランスヨルダンのアブドラ国王に謝罪の書簡を送る結果となる。またユダヤ機関とハガナーは「非常に不愉快な事件」として非難した。しかし、その後、ハガナーもアラブ人虐殺に加わり、少なくとも数百、おそらくは二、三千人のアラブ人虐殺を含む直接的な攻撃、実力、言論による圧迫の結果、生命の危機を感じた数十万人とも言われるアラブ人が現在のイスラエル領を脱出し、難民となった。イスラエル政府は、その帰還を認めていない。
デイル・ヤシーン村は現在イスラエル領になり、虐殺された犠牲者の土地や財産は、ユダヤ人のものとなっている。
[編集] ダレット計画(Plan Dalet)の存在とシン・ギメルとしてのエツェル
デイル・ヤシーン事件はそれだけでも忌まわしい事件であるが、実は隠された目的が有った。それは、ダレット計画と呼ばれる、英国委任統治領パレスチナのアラブ系住民の大量追放計画の一環として行われたと言う事である。つまり地下テロ組織エツェル(Irgun Tzvai Leumi＝民族軍事組織の意のヘブライ語頭文字Alef Tzadik lamedの略Etzel）はアラブ系住民の中に意図的にパニックを起こす事を意図して行ったのである。これはイスラエル独立前後の期間にパレスチナ･ユダヤ人社会の半合法軍事組織ハガナ(防衛の意のヘブライ語)が数百のアラブ系住民が住む村々に入って見せしめの殺戮やレイプを行って恐怖を煽り、短時間の間に百万人を超える『移送』を完成させた事の一部である。第一次ラビン内閣時のラビン首相の諜報問題アドバイザーであったレハビアム･ゼイビ氏は当時ハガナの常備部隊であったパルマッハに属しており、この『移送』が行われたことを公然と認めている。しかも平和の英雄とされたラビン自身、2005年にイスラエル総理府[1]公文書保管局(Ginzach ha-Medina)から発行された、公開公文書集『イスラエル首相イツハク･ラビン、その生涯の一部からの選集』[2]に寄ると、第二次中東戦争開戦直前に若き有力将校であったラビンは、エジプトとの開戦を主張するモシェ・ダヤン(当事)参謀総長の主張に反してヨルダンとの開戦を主張。その際独立戦争中に行われた計画的大量追放同様に当事ヨルダン領であったヨルダン川西岸地区のアラブ人をヨルダンに再び『移送』する事をベングリオン首相兼国防相に提言。
ラビン:それは非人道的な方策となるだろう。だが、そのそも戦争などと言うものは非人道的な事だ。
イスラエル軍軍人の使う俗語シン・ギメル(門番の意Shomer Gaderのヘブライ語頭文字Shin-gimel)とは、地位の高い者が都合が悪い時に立場の弱い者の所為にして責任をなすりつける事である。それは、レバノン戦争時イスラエル軍がベイルートを囲んでパレスチナ人に恨みを持っているマロン派を難民キャンプに解き放った事件の説明をイスラエル国会で行った当時のアリエル・シャロン国防相が｢イスラエル軍の手は汚れていない」と演説した事にも見える。非主流派のエツェルはこのダレット計画上のシン・ギメルであって真の責任者べングリオンである。
