テクノデリック
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テクノデリック | ||
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YMO の アルバム | ||
リリース | 1981年 | |
ジャンル | テクノ | |
レーベル | アルファレコード | |
プロデュース | 細野晴臣+YMO | |
レビュー | ||
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YMO 年表 | ||
BGM (1981年) |
テクノデリック (1981年) |
浮気なぼくら (1983年) |
テクノデリック (Technodelic) は、YMO中期に発表された、彼らの代表的アルバム。 世界最初期のサンプリング利用アルバムだが、さほど機械的なイメージの音ではない。むしろ乾いた空間の中に、演奏者の肉体感覚を浮かび上がらせるような構成の曲が多い。シーケンサーは鳴りをひそめ、生演奏がかなり強調されている。
『テクノデリック』は”世界初のサンプリングミュージック”と言われることがあるが、実際は同時期に複数のアーティストが開発中であったサンプリングマシーン(代表的なものに「Emulator」がある)をレコーディングに用いており、前後関係ははっきりしない。しかしながら、一点はっきり違ったのは、多くのアーティストはサンプリングマシーンを、メロトロンの電子版として使っていたが、YMOはスタッフが独自開発したサンプリングマシーンである「LMD-649」を中心にオリジナルの音や新しい音像を作ることに注力し、さらにそれがギミックでは終わらず演奏と一体化していることである。その活用法が衝撃的だったゆえに”世界初”とされることが多いのであろう。
高橋+細野が送出する日本人ばなれした強靭なファンクビートに、絶妙にからむアジア風音響群が特徴的な作品である。 特に"SEOUL MUSIC"に見られるようなセンスは彼ら独特のもので、アジア民族音楽風のミニマルビートをファンクでドライブし、大陸風のスケール感のある旋律でまとめ上げている。
アルバムジャケットは二種類存在し、初回ジャケットはメンバー三人の写真があしらわれたもので、これは彼らの意にそぐわないものであったといわれる(メンバーの顔が出ていないとYMOのアルバムと気づいてもらえないのではないかというレコード会社側の意向という説がある)。再生産版からはジャケットが変更され、現在の再発CDでも使われている女性の肖像のデザインとなった。
一般的リスナーは全体的に明るい曲調の初期や後期をベストとする風潮があるが、YMOファンの間ではこの「テクノデリック」を最高傑作と称する意見もある。
[編集] 曲目
- ジャム PURE JAM
(music by Yukihiro Takahashi, words by Yukihiro Takahashi, Peter Barakan)
当時アルファレコードの1階にあった喫茶店のメニューにあった、やたら分厚いパンにジャムののったトーストが不細工だった(彼らはレコーディング中のスタジオから喫茶店に軽食をよく注文していた)、というのが詞の内容。細野や坂本によれば、欧米のミュージシャン達はこの他愛もない詞を深読みして「何か意味深なことを語っているのではないか」とよく質問されたそうである。 - 新舞踏 NEUE TANZ
(music & words by Haruomi Hosono, Ryuichi Sakamoto, Yukihiro Takahashi)
インドネシアのケチャをモチーフにしている。 - 階段 STAIRS
(music by Yukihiro Takahashi, words by Yukihiro Takahashi, Peter Barakan)
重々しいピアノとベースが特徴的な曲。『カルトQ』YMO編で優勝した元電気グルーヴの砂原良徳が「YMOで最も好きな曲」として挙げている。 - 京城音楽 SEOUL MUSIC
(music by Ryuichi Sakamoto, Yukihiro Takahashi, words by Ryuichi Sakamoto, Peter Barakan)
坂本が韓国取材をした際の印象を元にしたもので、軍政下の韓国の事情をうかがわせる。 - 灯 LIGHT IN DARKNESS
( music by Ryuichi Sakamoto, Yukihiro Takahashi) - 体操 TAISO
(music & words by Haruomi Hosono, Ryuichi Sakamoto, Yukihiro Takahashi)
坂本が細野から「ジョン・ケージの”プリペアードピアノ”みたいなミニマルな曲を」という発注に応えて作った曲。現代音楽のミニマルミュージック的な手法を用いつつ、ポップミュージックとして成立している。シングルカットされた。坂本によれば細野と高橋にとってのCUEに当たる存在らしい。また、PVも製作されトーキングヘッズをイメージした映像になっている。 - 灰色の段階 GRADATED GRAY
(music & words by Haruomi Hosono)
細野がリズムをループ仕立てにして作った曲。また細野は歌い方を工夫し「ジョージ・ハリスン的な発声法をしてみた」と語っている。 - 手掛かり KEY
(music by Haruomi Hosono, Yukihiro Takahashi, words by Haruomi Hosono, Peter Barakan)
細野、高橋は、この曲について「CUEの続編」と語っている。 - 前奏 PROLOGUE
(music by Ryuichi Sakamoto) - 後奏 EPILOGUE
(music by Ryuichi Sakamoto)