チェブラーシカ
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チェブラーシカ(Чебурашка, Cheburashka, Čeburaška)は、ロシアの児童文学家、エドゥアルド・ウスペンスキーによるシリーズもの絵本に登場するキャラクターであり、そのシリーズの実質的な主人公である(本来の主人公は、むしろ、友人である「わにのゲーナ」であったようだ)。 人形アニメで映画化されて、日本にも紹介された。 スウェーデンでは「ドルッテン」 (Drutten)、エストニアでは「ポツァタヤ」 (Potsataja)、フィンランドでは「ムクシス」(Muksis) の名で知られている。
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[編集] 登場人物
主な登場人物は「チェブラーシカ」、「わにのゲーナ」、「シャバクリャク」の 2 匹と 1 人である。
- チェブラーシカ
- (Чебурашка, Cheburashka) — チェブラーシカとは、「ぱったり倒れ屋さん」という意味で、「ドスンと落ちる」等の意味を持つ俗語「チェブラハッツァ」(чебурахаться)から来ている。小熊と猿の中間のような外見の不思議な小動物で、「正体不明」という設定。これが、物語の重要な核である。彼は、アイデンティティを求めてさまよう。「友達の家」を作ったり、ピオネールに入隊しようとしたりする。天涯孤独であり、非常に強いさみしがり屋である。体の大きさ・知能ともに人間の幼稚園児くらいに相当する。
- わにのゲーナ
- (Крокодил Гена, Krokodil Gena) — 動物園で「ワニ」として働いている。毎日アパートから通勤して、自ら檻に入るのである。正義感が強く、紳士的だが孤独なワニ。アコーディオンと歌が得意。チェブラーシカと親友になる。
- シャパクリャク
- (Шапокляк, Shapoklyak) — 謎のいじわるおばあさん。「悪いことをしなければ、有名になれない」と考えているため、周りの人間の嫌がることをして喜ぶ。若いころ、アメリカでスパイ活動をしていたらしい。現在は、以下のような容疑でFBIから手配されているため、アメリカには入国できない。「バットマンの自動車のタイヤをパンクさせ、バックスバニーのにんじんに農薬をかけてだめにし、ミッキーマウスのしっぽに空き缶をゆわえつけた」。名前は「オペラハット」の意味(ニックネームまたは暗号名か?)。
[編集] 人形アニメ
現在までにロマン・カチャーノフ監督によって 4 本の短編が制作されている。
- 『こんにちはチェブラーシカ』
- (原題: Крокодил Гена, わにのゲーナ, 1969年) — ある日果物屋の店員がオレンジの箱をあけると、そこには見たこともないような動物が眠っていた。何度起こしてもぱったり倒れてしまうその正体不明の動物を、店員は「チェブラーシカ」と名づける。一人ぼっちで寂しい毎日を過ごすようになるチェブラーシカは、わにのゲーナが書いた友達募集のポスターを見て彼の家を訪れるが…。
- 『ピオネールに入りたい』
- (原題: Чебурашка, チェブラーシカ, 1971年) — ゲーナに誕生日プレゼントを届けにきたチェブラーシカ。プレゼントのおもちゃのヘリコプターで遠くへ飛ばされてしまったチェブラーシカの前には、ピオネールが。チェブラーシカとゲーナは憧れピオネールに入ろうと画策する。
- 『チェブラーシカと怪盗おばあさん』
- (原題: Шапокляк, シャパクリャク, 1974年) — ゲーナとチェブラーシカはモスクワ発ヤルタ行きの汽車で旅に出るが、シャパクリャクおばあさんに切符を取られてしまう。汽車を降ろされた二人は、仕方なく歩いて家へ帰ろうとするが…。
- 『チェブラーシカ学校へ行く』
- (原題: Чебурашка идёт в школу, チェブラーシカ学校へ行く, 1983年)
[編集] ロシアでの人気・評価
ロシアでは国民的キャラクターとして、多くの人に愛されている。 チェブラーシカは2004年のアテネオリンピックでロシア選手団の公式キャラクターになったため、表彰台などでロシア選手がチェブラーシカのぬいぐるみを持つ場面を度々見ることができた。 また2006年のトリノ冬季オリンピックでは白いチェブラーシカのぬいぐるみが登場し日本でも話題となった。
それまで旧ソ連ではスターリンの指示によりディズニーのようなアニメを作ることが求められていたが、スターリンの死後、ロマン・カチャーノフのような有能な製作者が出てきた。彼は児童向け作品であるチェブラーシカをアニメーション化するなど、ロシアアニメ界に貢献し高い評価を得ている。
[編集] 日本での反響
日本では2001年にミニシアターで公開、その愛らしさが人気を集め、多くの人が映画館へ詰め掛けるという現象が起きた。2005年に、愛知万博のロシア館で、映画に使われた人形が展示された。現在でもDVDやグッズなどが販売されている。
チェブラーシカは元吉本興業社員の吉田久美子によって日本に紹介されたが、版権争いなどトラブルも絶えなかったという。名もない外国のキャラクターをここまで日本に広めた功績は大きいと言えるだろう。2006年よりテレビ東京ブロードバンドとフロンティアワークスによるチェブラーシカ・プロジェクトが版権を取得し、日本での続編の製作などが計画されている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- チェブラーシカ・プロジェクトの公式サイト(日本語) — 作品・作者紹介や今後の展開、チェブラーシカを求めてのロシア紀行などを掲載。
- チェブ事務所日記 — チェブラーシカを日本に紹介した吉田久美子氏の事務所の日記。
- "НОВЫЙ Чебурашка" ファンサイト(ロシア語)
- 「子供の島」(Островок детства) — 原作者や作品の紹介記事あり(ロシア語)。
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