ダイアネティックス
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ダイアネティックスは、L・ロン・ハバードが開発し体系化した心理療法のことである。1950年に出版されたL・ロン・ハバード著『ダイアネティックス』が米国でベストセラーとなり、一般に知られるようになった。その後、ダイアネティックスの技術によってカウンセリングの一種(オーディティングと呼ばれる)を行う実践者たちが米国各地に広がった。しかし、ダイアネティックスのオーディティングは、いわゆる心理学を土台としたカウンセリングとはその原理や手法や手順がまったく異なる。オーディティングの原理・手法・手順は、ハバード個人が独自に体系化し開発したものであり、心理学とは関係がない。
ダイアネティックスでは、人間の心を「反応心」と「分析心」というふたつの機能に分けて考えている。「反応心」とは周囲からの刺激によって本人の意思とはかかわりなく反応してしまう部分、「分析心」とは理性的・合理的に計算し判断する部分である。人間の逸脱した考えや振る舞いや心因性の病気の原因を反応心とみなし、その反応心を取り除くことがダイアネティックスの目的である。
ハバードはその後もダイアネティックスの理論と技術を発展させて修正や改善を行い、現在では、「ニュー・エラ・ダイアネティックス」と呼ばれる新しい技術も公表されて実践されている。
ダイアネティックスはマーティン・ガードナーらによって「疑似科学」とされている。
上記の『ダイアネティックス』は50を超える言語に翻訳され、合計で2,000万部以上が販売された。また、この本は、米国の出版社であるランダムハウス社が2000年に実施した「20世紀のノンフィクション・ベスト100」の読者投票で第2位になった。ダイアネティックスは、1991年にソ連邦が崩壊した後の自由化に伴って、ロシアやハンガリーといった旧共産圏の諸国でもブームになっている。
現在、ダイアネティックスのオーディティング・サービスは、サイエントロジー教会内にあるハバード・ダイアネティックス協会によって提供されている。
[編集] 参考文献
- 『ダイアネティックス』 ISBN 4931223168
- 『科学の進化』 ISBN 4931223206
- 『生存の科学』
- "Self Analysis"
- "Dianetics 55"
- "Dynamics of Life"