タイプS
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タイプS(TYPE S)とは本田技研工業で生産されている車種のスポーツグレードの名称である。
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[編集] 現在使用されている車種
[編集] 過去使用されていた車種
[編集] 歴史
1996年11月、スポーツクーペのプレリュードが5代目にフルモデルチェンジされた際に設定されたのが採用第1号。従来からあり、この5代目でも設定されたスポーツグレードのSiRよりも更に走行性能を増す装備を備えたトップグレードであった。NSXやインテグラに既にトップグレードのタイプRという設定はあったものの、プレリュードのそれにタイプRと名付けなかったのは、この車の趣向がサーキットユースを目的とせず、それよりも日常使用の快適性とスポーツ走行性能の高い次元での両立を求めていたからである。それはタイプSの理念そのものであった。また同じ販売系列のベルノ店で併行して販売されていたインテグラ・タイプRとの棲み分けも計ったものと思われる。2001年、スポーツクーペ市場の人気沈滞の中、インテグラが4代目へとフルモデルチェンジされた際、同時に販売店内競合車種のプレリュードが整理統合されてしまい、プレリュードそのものが絶版になったのと同時に生産中止になった。
1997年3月にはマイナーチェンジを行ったNSXにも設定された。NSX-R（NSXハイフンRで「NSXタイプR」 と読む）のような徹底した軽量化ではない適度な軽量化と日常使用にも耐えうる固さのサスペンション、さらに革張りのレカロ社製バケットシートやタイプRにはなかったBBS社製鍛造アルミホイールなど充実した装備が施された。1995年に既に生産中止となっていたタイプRはその硬骨さからカリスマ的な人気を誇ったが、一般ユーザーがメインで使う公道走行においては、タイプSはNSX史上ベストバイのグレードと評された。また、NSX-Rそのものに通じるグレードとして、タイプSからさらに徹底した軽量化とガチガチに固めたサスペンションでサーキットユースを目的にしたタイプS・Zero（Type S・Zero）も同時に設定。2001年、NSXの再度のマイナーチェンジの際、タイプSは引き続き残ったものの、タイプS・Zeroは翌年にタイプRが復活するのが決定事項であったために生産中止となった。NSX自体が90年代後半にはいると生産台数が極度に少なくなっていたため、トータル5年間に及ぶタイプS・Zeroの総生産台数はわずか50台あまりと言われている。
2001年4月には、3代目インスパイアと、姉妹車のセイバーにもタイプSが同時に追加。しかし、同時期のインテグラのモデルチェンジ当初からのタイプR設定とともに、4ドアセダンへの設定であったり、DVDナビゲーションシステムまでもが標準装備であったり、と果たしてこれがタイプSなのかとホンダのスポーツグレード名の安売りに物議が沸いた。2003年、インスパイアが4代目へとモデルチェンジし、セイバーがそれに統合したカタチで消滅した際、両車のタイプSも生産中止となった。しかし、モデルチェンジしたインスパイアには、グレード名は違うもののタイプSと同等の装備をほどこしたグレードは設定されている。
2004年9月、インテグラのマイナーチェンジの際に、輸出先のアメリカで販売していたRSXタイプSというスポーツグレードを元に日本でもタイプSとして追加された。
2005年11月、アコードのマイナーチェンジの際にタイプSを追加設定。ミッションは5AT（Sマチック）のみで、MTは設定されていない（逆に、タイプR相当のユーロRはMTのみで、ATの設定は無し）。
2005年12月、NSXの生産終了に伴い、NSXタイプSの生産も終了。
[編集] タイプSの課題
タイプS各車は、先述した“日常使用の快適性とスポーツ走行性能の高い次元での両立”という理念以外は、専用ロゴのバッジくらいしかタイプR各車ほど統一したものがない。特に装備面にそれがあり、各車はそれぞれにタイプS専用設定パーツは設けているものの、タイプRのように設定第1号のNSX-R以来の、ホンダ車のレース参戦車両を表す「H」の赤バッジ、赤いレカロ社製バケットシート、ホンダの第1期F1時代の参戦車両色のナショナルカラーを基にした専用車体色のチャンピオンシップホワイトといった各車統一したアイデンティティを表すものがない。タイプRはこのアイデンティティがあるため「あのタイプRだから」で購入する人はいても、タイプSを「あのタイプSだから」で買う人はいない。タイプSはその車種のスポーツグレード最高峰だから、それが欲しい人がたまたま選ぶにしか過ぎないのだ。アイデンティティの無さに掲げた理念はいつの間にか消え去ってしまった。これがタイプSというグレードの魅力の無さの現状である。 そんな中で2004年、久々にスポーツクーペに設定されたタイプSであるインテグラ・タイプSは、インテグラ・タイプRとの併売で販売を開始した。値段はタイプSのほうが同じMT仕様でタイプRに比べて73万円あまり安い。単なるタイプRの下位グレードに成り下がるのか、それともホンダが思うようにタイプRとは違う魅力を放つタイプSの本質が受け入れられるのか、まさにタイプSの理念の真価がいま問われる。
