ソニーのリテール事業
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ソニーのリテール事業(小売事業)とは、1966年から1979年に創業者の故・盛田昭夫のもとで事業多角化の一環で立ち上げた5社(後の会社分割により6社)を指す。6社ともに、統括持株会社である株式会社スタイリングライフ・ホールディングスの傘下企業である。
- ソニープラザ(プラザスタイルに社名変更)(輸入雑貨販売)
- マキシム・ド・パリ(フランス料理レストラン)
- ソニー・ファミリークラブ(ライトアップショッピングクラブに社名変更)(通信販売)
- B&Cラボラトリーズ(化粧品製造販売)
- CPコスメティクス(サロン):B&Cラボラトリーズから新設分割
- ライフネオ(健康増進施設運営など)
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[編集] リテール事業群のソニーからの独立
これら6社の事業については、ソニーの中核事業とは直接関係がなく、1980年代には盛田会長自身が見直しを指示していた。しかし、盛田会長の立ち上げた事業ということで、長年見直しは行われないでいた。2005年のソニーショックと呼ばれる経営不振に伴い、経営トップがハワード・ストリンガー会長兼CEOに交代したことから、経営資源を不振のエレクトロニクス事業を中心とする中核事業に集中させるために、ソニーグループから独立させることとなった。
独立の方法は、日興コーディアルグループの日興プリンシパル・インベストメンツ株式会社主導で、リテール事業会社の経営者と従業員による買収(MEBO、management employee buy-out)という形で行われる。具体的には、リテール事業を統括する持株会社を設立し、その株式の51%を日興プリンシパル・インベストメンツに売却。売却額は約550億円になる見込み。ソニーは、当初は49%の株式を保有するものの、順次出資比率を下げる。日興プリンシパル・インベストメンツは、取得した株式の一部をリテール事業群の経営陣、従業員及び従業員持株会に譲渡するとともに、株式上場後に残りの株式を売却することで利益を得る。
2006年2月27日に、ソニーと日興プリンシパル・インベストメンツの間で基本合意。2006年度第一四半期中に持株会社の株式取得がなされるよう、最終調整中である。
ソニー・ファミリークラブ、B&Cラボラトリーズ、CPコスメティクス、ライフネオの4社は、非音楽系事業の統括会社である株式会社ソニー・カルチャーエンタテインメントの傘下企業である。そこで2006年5月17日に事業独立の前提として、ソニー・カルチャーエンタテインメントをリテール事業群統括の会社(スタイリングライフ・ホールディングス)とその他の事業統括の会社(新ソニー・カルチャーエンタテインメント)に分割している(正確には、子会社2社を新設分割で設立した上で、ソニーに吸収合併され消滅)。このリテール事業統括会社が、買収対象の持株会社になるものと思われる。
[編集] 持株会社概要
リテール事業の統括持株会社として、ソニー・カルチャーエンタテインメントから分割してできた会社である。下記の6社を傘下にもつ。ソニーはこの会社の株式を売却する形で独立させることになる。2006年6月1日に、日興プリンシパル・インベストメンツ株式会社の完全子会社であるアジアリテール・ホールディングス有限会社がソニーより株式の51%を取得して子会社化した。
すでに三井物産と小売・サービス事業で包括提携。今後、この会社のMEBOが実施される。
- 商号 株式会社スタイリングライフ・ホールディングス
- 登記上の本店所在地 東京都港区白金台5-12-7
- 本社 東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー18階
- 設立 2006年5月17日
- 事業内容 持株会社
- 代表者 代表取締役 畑享
- 資本金 10億円
- 株主
- アジアリテール ホールディングス有限会社(日興プリンシパル・インベストメンツ株式会社の完全子会社) 51%
- ソニー株式会社 49%
[編集] 独立対象のリテール事業群
[編集] ソニープラザ
1966年に日本で初めての輸入雑貨専門店「ソニープラザ」を銀座ソニービル地下にオープン。「ソニープラザ」「ミニプラ」などの事業を行う。独立することになり、社名を従来の株式会社ソニープラザからプラザスタイル株式会社に変更。店舗名のソニープラザも2007年4月ごろまでに変更する予定。
- 商号 プラザスタイル株式会社
- 本社所在地 東京都港区北青山2-12-2
- 設立 1966年2月11日
- 事業内容 輸入生活雑貨小売業、パートナーショップ営業、ミニプラ営業、ライセンス営業、自社オリジナル商品企画、飲食(カフェ)ビジネス運営、フラワービジネス運営
- 代表者 代表取締役社長 内田公夫
- 資本金 12億円
- スタイリングライフ・ホールディングス傘下になる前(ソニーグループ時)の親会社(株主) ソニー株式会社、ソニー企業株式会社(ソニーの完全子会社)
[編集] マキシム・ド・パリ
パリ「マキシム」よりレストランのライセンスを取得して、「マキシム・ド・パリ」 のブランドで、銀座のソニービルなどでフランス料理店やケーキ店を展開。日本初の本格的フランス料理店。
- 商号 マキシム・ド・パリ株式会社
- 本社所在地 東京都中央区銀座5-2-1 銀座東芝ビル8階
- 設立 1966年11月
- 事業内容 フランス料理レストラン経営、喫茶店・軽飲食店経営、洋菓子の製造及び、販売
- 代表者 代表取締役社長 小島秀雄
- 資本金 1億円
- スタイリングライフ・ホールディングス傘下になる前(ソニーグループ時)の親会社(株主) ソニー企業株式会社(ソニーの完全子会社)
[編集] ソニー・ファミリークラブ
「Light Up」「Zekoo」などのカタログでの通信販売等を行う。1971年にCBSソニーレコード株式会社(現・株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント)の完全子会社・株式会社CBS・ソニーファミリークラブとして設立。1994年に株式会社ソニー・ファミリークラブに商号変更。独立が決定したことから、2006年5月1日にソニー・ファミリークラブから株式会社ライトアップショッピングクラブに商号変更。
- 商号 株式会社ライトアップショッピングクラブ
- 本社所在地 東京都港区白金台5丁目12番7号
- 設立 1971年3月
- 事業内容 衣料品、スポーツレジャー用品、電器製品、家庭用品、宝飾品、書籍、光学機器、時計、靴、袋物等の通信販売、店舗販売
- 代表者 代表取締役社長 遠藤育雄
- 資本金 4億8000万円
- スタイリングライフ・ホールディングス傘下になる前(ソニーグループ時)の親会社(株主) 株式会社ソニー・カルチャーエンタテインメント(100%)
[編集] B&Cラボラトリーズ
化粧品事業を行っている会社。1979年にソニー・クリエイティブプロダクツの一事業部として事業を開始し、1996年2月に株式会社ソニーシーピーラボラトリーズとして分社独立。ソニーからの独立が決定したことから、2006年1月1日にソニーシーピーラボラトリーズから株式会社B&Cラボラトリーズに商号変更。
- 商号 株式会社B&Cラボラトリーズ
- 本社所在地 東京都港区白金台5丁目12番7号
- 設立 1996年2月1日
- 事業内容 化粧品、医薬部外品等の開発・製造・販売。化粧用具、理美容機器、理化学機器、音響機器の製造・販売
- 代表者 代表取締役社長 中嶋成幸
- 資本金 4億8000万円
- スタイリングライフ・ホールディングス傘下になる前(ソニーグループ時)の親会社(株主) 株式会社ソニー・カルチャーエンタテインメント(100%)
[編集] CPコスメティクス
2006年1月4日にB&Cラボラトリーズからサロン事業が新設分割により独立。1220店舗。
- 商号 株式会社CPコスメティクス
- 本社所在地 東京都港区白金台5丁目12番7号
- 設立 2006年1月5日
- 事業内容 化粧品、医薬部外品等の開発・製造・販売。化粧用具、理美容機器、理化学機器、音響機器の製造・販売
- 代表者 代表取締役社長 中嶋成幸
- 資本金 1億円
- スタイリングライフ・ホールディングス傘下になる前(ソニーグループ時)の親会社(株主) 株式会社B&Cラボラトリーズ(100%)
[編集] ライフネオ
- 商号 株式会社ライフネオ
- 本社所在地 東京都港区白金台5丁目12番7号
- 設立 2005年4月
- 事業内容 スパ、フィットネス等の健康増進施設の企画、運営ならびに関連商品の企画、販売
- 代表者 代表取締役社長 住友滋
- 資本金 2億4000万円
- スタイリングライフ・ホールディングス傘下になる前(ソニーグループ時)の親会社(株主) 株式会社ソニー・カルチャーエンタテインメント(100%)
[編集] 関連項目
- ソニー
- ソニー・カルチャーエンタテインメント
- 日興プリンシパル・インベストメンツ
- MEBO:MBO(経営者による買収)とEBO(従業員による買収)が合わさったもの